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「空気から水をつくる」パネルで飲料水はできるのか? 砂漠にもち込んで、ひと晩を過ごしてみた

4/17(火) 12:20配信

WIRED.jp

「空気から水をつくる」ことができるパネルを製造している企業が米ボストンにある。気候変動が進み、世界各地で水不足が懸念されるなか、このパネルが生き延びるためのツールとして使えるのか。それを最も過酷な環境で試してみようと、パネルをピックアップトラックの荷台に積んで高地の砂漠へと向かった。果たして飲料水はつくれるのか──。『WIRED』US版による体当たりのレポート。

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世界は水で溢れている。トイレは水洗だし、蛇口をひねれば水が出てくる。だが、米南西部では、人が生きるために必要な水を手に入れることが難しくなりつつある。もしかすると、ほかの場所でも同じことが起こっているかもしれない。

世界中のさまざまな地域で気温が上昇し、干ばつはますます厳しくなる一方だ。米西部では今後、数十年の間に住民や事業への水の供給がさらに困難になるだろう。メキシコ湾沿いの湿地帯は年ごとに強くなる嵐に見舞われ、降雨の期間が長くなっているが、多すぎる雨水は活用されることなく海に流れてしまう。残されるのは嵐の爪痕だけだ。

こうなると、水はどこから来て、誰が所有し、いつ蒸発するのか、というようなことが気になってくる。不安をなくすためにも、テクノロジーに目を向けてみた。正確に言えば、そう遠くない未来に世界が砂漠化しても、われわれに潤いを与えてくれる新しいテクノロジーだ。

「空気を水に変える」技術、2000ドル

プラスチックや鉄の表面を加工するコーティングを開発しているボストンの企業、NBDナノテクノロジーズは、大気から水分を“引き出す”技術をもっている。NBDは「Namib Beetle Design(ナミブ・ビートル・デザイン)」の略で、霧の水分をカラダに付着させ、取り込むことのできる虫に由来する。

続いて見つけたのが、アリゾナ州スコッツデールにあるゼロ・マス・ウォーター(Zero Mass Water)という企業だ。この会社は、大気から水蒸気を取り込むことができるという2,000ドル(約21万4,500円)の「ハイドロパネル」を製造している。1つのパネルで1日最高5リットルもの水を生成でき、2つあれば家庭で日々必要となる飲料水や料理用の水を十分に確保できる計算だ。

つまり理論上は、誰でもこのパネルをトラックの荷台に乗せて砂漠まで走っていけば、そこでも水のある生活を送れる。ゼロ・マス・ウォーターの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるコディ・フリーセンは当初、そんな机上の空論など実現しないと疑っていた。

彼はアリゾナ州立大学で物質科学の教授も務めている。電話越しに「独創的な考えだ」と評価してはくれたものの、ラジオのパーソナリティーになれそうな低音ボイスで、ハイドロパネルが乗り物用に製造されたものではないことを何度もがなるように繰り返した。

パネルの重さは275ポンド(約124.73kg)で、庭に置いたり屋根に取り付けたりするものであり、トラックの荷台に載せることを想定したものではない。砂漠特有のでこぼこ道も心配だと言う。それでも引き下がらずにいると、エンジニアチームと相談をしたうえで、今回だけトライしてもいいと承諾してくれた。

パネルがトラックに装備されたと知らせを受けてスコッツデールに到着したあと、フリーセンに「うまくいくでしょうか?」と聞いてみた。彼はニヤリとして、「多分な」とだけ返した。

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最終更新:4/17(火) 12:20
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