ここから本文です

『からくりサーカス』作者がアニメ化に「描き切れるわけねえだろ!!」と吠える

4/19(木) 23:03配信

KAI-YOU.net

1997年から2006年までの9年間にわたって連載された傑作漫画『からくりサーカス』が10数年の時を経てアニメ化ということで、読者は多いに沸き立った。筆者もその一人だ。

【名作『からくりサーカス』とは】

発表の翌週に開催されたアニメイベント「AnimeJapan 2018」のトークイベントには、原作者である藤田和日郎さんが登壇。

約1時間にわたって、クリエイティブ・プロデューサーの丸山正雄さん、TVアニメを企画したツインエンジンのアニメプロデューサー・木村誠さんと共に、これから本格的に始動する制作の裏側を語った。

また、個別インタビューの時間もいただいたので、トークイベント+インタビューという大ボリュームでお届けする。

横で待ってるタイプの漫画家じゃない

『からくりサーカス』は、熱血少年漫画『うしおととら』で人気を博した藤田和日郎さんにとって長編作品2作目で、現在累計発行部数は1500万部を数える。

2015年から2016年にかけては『うしおととら』がアニメ化されたことも記憶に新しい。そこから2年。2006年に完結した『からくりサーカス』も12年の時を経てアニメ化されることが判明し、ファンには大きな反響をもって迎えられた。

そんな期待をひっさげて藤田和日郎さんが登場するステージに集まったのは、老若男女幅広い年齢層のファンたち。中には「祝アニメ」という手書きボードを掲げる人の姿も。

彼らを前に、藤田和日郎さんは開口一番「こんなにいる! 嬉しいな~興味持ってくれて。ありがとう」と感謝を隠せない様子。

司会に話を振られるも「漫画家って本来こういうところに来る人じゃないでしょ!? 机の上が一番落ち着くの! だから落ち着くまでちょっと待ってね!」と元気よく言い放って会場を和ませる。

とはいえ徐々にエンジンのかかってきた藤田さんは「横で待ってるタイプの漫画家じゃないんで、一生懸命噛みます。うるさいと言われても」と『からくりサーカス』アニメへの並々ならぬ情熱を燃やす。すでに制作スタッフと何度も打ち合わせを重ねている。

43巻という長大な物語の中で、過去と現在が徐々につながっていく緻密で壮大なプロットと、敵味方それぞれに花を持たせる魅力的なキャラクター造形と演出が詰まっている『からくりサーカス』には、思い出しただけで目頭の熱くなる名シーンが多い。

プロデューサーという立場からすれば、人形同士のアクションもハードルが高くアニメ化を躊躇することもあったが、木村さんは「丸山(正雄)さんとstudioVOLNさんにやっていただけるなら」とアニメ化に踏み切った。

思わず藤田さんも「『今なんで12年前の作品をアニメ化するんだよ?』とか『アニメ業界もネタ切れか?』とか小憎らしいことを言われるけど、俺もそういう理由でアニメ化されたらやだなあと思うので、ちゃんとやりたいって言ってくれる人にやってもらえてよかった」と改めて安堵していた。

もう一人、アニメ化の重要なキーを握っているのは、元マッドハウス取締役社長にして、現在はスタジオM2代表取締役社長である丸山さん。細田守監督のオリジナルでのデビュー作となる『時をかける少女』や、故・今敏監督の『PERFECT BLUE』はじめ名作の数々のプロデュースしてきた“生ける伝説”だ。

76歳にして現役、『うしおととら』アニメ化の際もクリエイティブ・プロデューサーをつとめている。その丸山さんでさえ『からくりサーカス』のアニメ化を聞いた時「誰がやんの? こんなしんどいこと」と思ったという。しかし、そこで終わらないのが丸山正雄その人。

逆に「誰もやんないなら俺がやる。誰かがやるなら任せればいいけど、『あしたのジョー』から『はじめの一歩』まで、長く太いものをやってきた俺だからやろう」と考えた。

『うしおととら』でMAPPAと共同制作をつとめたstudioVOLNも「難しいことにも挑戦できるという時期にきた」と確信した上で、丸山さんは『からくりサーカス』を引き受けることに。

藤田さんも『うしおととら』アニメを振り返って、「俺は大変満足いく仕事ぶりと作画を丸山さんとVOLNにやってもらえたから嬉しかった。VOLNは嫌々かもしれないけど、俺は(『からくりサーカス』も)やってもらいたかったんだわ」と絶大な信頼を寄せる。

日々やりとりを重ね、時には喧々囂々の議論になることもある様子だが、壇上でのかけあいからはそれだけお互い言い合える信頼関係を築けているように見える。

作中に登場するしろがねが操る人形・あるるかんの頭の羽の本数を巡っては、「俺が描いたのは5本だったけど、アニメでは6本になってて。なんでか知らないけど理由を聞いたら『そっちの方が描きやすいから』だって(笑)。そしたら漫画家はどうしようもないから『じゃあ6本でお願いします』って。そんな火花散るやりとりが行われていますから」というエピソードも披露される。

どこが苦労しているかという質問に、丸山さんは「ここが苦労したというのは言えないですね。だって、全部大変だもん」と、とても冗談に聞こえない答えを返す。

「『からくりサーカス』はアツさ、ペンの力、思いの質量、そういったものが魅力なので、それをアニメにするのが大変」(丸山さん)

「まあ、今つくってる最中ですからね!」と藤田さんがとりなす。「黙ってりゃいいのに、構成とか脚本とか、噛ませてもらってますからね。設計図は、結構イケてます」と自信をのぞかせる。

「漫画は43巻で終わったけど、連載中は『これ本当に終わるんだろうか? こいつに良い退場を迎えさせてやれるんだろうか?』って、できるまではドキドキでした。漫画もアニメもそれは同じ。だから今頑張ってますとしか言えないんですよね」(藤田さん)

1/7ページ

最終更新:4/20(金) 23:17
KAI-YOU.net