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中央線「グリーン車」導入に立ちはだかる難問

4/19(木) 5:00配信

東洋経済オンライン

 多くの人から歓迎の声が聞かれた「2020年度に中央快速線にグリーン車を連結させる」という構想は、昨年3月に延期が発表され、期待していた人々を落胆させた。しかし、それから約1年後の4月3日、2023年度末の導入を目指すことが発表された。

【写真】中央線にいよいよグリーン車が導入

■グリーン車の清掃は時間がかかる

 中央線グリーン車連結構想の概要は、現状の快速電車の10両編成の東京寄り4~5両目に2階建てグリーン車2両を挿入して12両化するというものである。各駅のホーム延長工事を行い、東京駅での短時間折り返しのためにグリーン車を両開きドア構造として乗降性を改善するほか、グリーン車1両に小型トイレと隣接する普通車両1両に大型トイレを設置する。トイレ設置は運行時間が比較的長くなった中央線電車にしては歓迎できるが、現状と同時間の東京駅短時間折り返しが維持できるのか疑問が残る。

 新宿湘南ラインや上野東京ラインの高崎駅、熱海駅のホーム発着折り返しでは即座に係員が乗車していすの回転や車内清掃を実施している。一般車の車内清掃は短時間で済むものの、グリーン車の利用者は一般車の乗車が開始されても整備待ちでしばらくホーム上で待たされ、発車直前に乗車となるあわただしさである。

 降車は車内階段などで通常車両より時間を要するし、停車前から階段部分に待機することは転倒防止の観点から危険である。降りる客が少ないならまだよいが、東京駅到着時には多数の客が降車するのでかなりの時間を要し、降車後のいす回転や清掃を考慮しても現状の折り返し時間よりは長い整備時間が必要となろう。単に両開き扉化だけで改善できるのか懸念が残る。折り返し時間が増加した場合にはホームを増設するか、あるいはグリーン車連結の代償にライナー列車の廃止や減便を行わなければ運転間隔の拡大や列車減便が懸念されることになる。

 公共交通の始祖である馬車時代から乗車区画の差別化は実施されてきた。鉄道も同様である。当初は軍関係者や上流階級が高い運賃を出して特別な車両にゆったりと乗る方式であり、国電時代の短距離電車線区でも車両の半室を特別室としたような等級別サービスが実施されていた。

 戦前戦中の混雑対策として比較的近距離の電車列車は一般車のみの編成として特別車の廃止などが行われてきたものの、混雑が尋常でない京浜東北線や中央線では弱者の救済を目的とした特別料金不要の「専用車」が設定された。これらは「老幼専用車」や「婦人子供専用車」とされ、中央線では高度成長期の混雑期も含めて継続運転されていた。今でいう「女性専用車」の嚆矢とも言えるのが中央線だ。

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