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バルサ、シティの「番狂わせ敗退」をCL博士3人が論理的に読み解く

4/22(日) 17:40配信

webスポルティーバ

蹴球最前線──ワールドフットボール観戦術── vol.16

 2017-2018シーズンも佳境を迎え、各地で最高峰の戦いが繰り広げられる欧州各国のサッカーリーグ。この企画では、世界トップの魅力、そして観戦術を目利きたちが語り合います。

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 サッカーの試合実況で日本随一のキャリアを持つ倉敷保雄、サッカージャーナリスト、サッカー中継の解説者として長年フットボールシーンを取材し続ける中山淳、スペインでの取材経験を活かし、現地情報、試合分析に定評のある小澤一郎──。

 今回のテーマは、チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のレビュー。ラ・リーガで首位を独走するバルセロナがローマに、プレミアリーグで優勝したマンチェスター・シティがリバプールに敗れ、予想を覆す結果になった試合を振り返ります。

* * *

――チャンピオンズリーグ準決勝はリバプール対ローマ(第1戦;4月24日、第2戦;5月2日)、バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリー(第1戦;4月25日、第2戦;5月1日)になりました。今回はこの2カードを展望していきたいと思いますが、その前に、まずはリバプールとローマの準々決勝の戦いぶりからレビューしていただきたいと思います。

倉敷 まずリバプールです。今季はその緻密さが世界から高い評価を受けていたマンチェスター・シティから複数ゴールを奪うことで、欧州のコンペティションで頂点を目指せるレベルにあることを証明しましたね。勢いをもって相手を凌駕するのが現在のスタイルですから、アンフィールドで完勝できたことがなにより大きかったと思います。

 それにしても第1戦は、緩急をつけることに関しては指折りの実力を持つリバプールの3人のアタッカーに対し、シティは4バックで臨み、左サイドバックにアイメリク・ラポルテを起用しました。結局ここがモハメド・サラーに完敗したわけですが、小澤さんは、この起用をどう見ましたか?

小澤 ラ・リーガをずっと見ている身からすると、疑問が残る采配でした。サイドバックとしての適性も含めて、スピードのないラポルテをサラーにぶつけるという発想自体が理解できません。同じく本職ではないとはいえ、サブにはオレクサンドル・ジンチェンコもファビアン・デルフもいましたから。

 確かにボール保持局面でのビルドアップでラポルテの左足のフィードを活用する狙いはわかりますが、リバプールのカウンターは最も警戒すべき点でしたから、これはペップ(・グアルディオラ監督)の大きな采配ミスだったと思います。

 おそらくペップは、イルカイ・ギュンドアンが右サイドから中央に入って、右サイドバックのカイル・ウォーカーを前に上げて、4バックのかたちをとりながらもビルドアップ時には3バックに変形してボールの保持から前進を図ろうと考えたのでしょう。ところが開始12分で失点してしまうと、その流れのまま失点を続けてしまった。

 そんな中、ひとつでもアウェーゴールを奪いたいはずのペップは、ハーフタイムに交代カードを切りませんでした。そこも含めて、ペップにしては珍しく後手を踏んだという印象を受けました。

倉敷 かつてバイエルンを率いていたペップはドルトムントにいたユルゲン・クロップを大変苦手としていましたが、その原因を中山さんはどう分析していますか、それは今回も影響したでしょうか?

中山 ペップは相手陣内でボールを保持したいと考えていて、対するクロップはなるべく高い位置でボールを奪ってからの素早い攻撃に特徴があります。そんな中でどちらも高いプライドを持って「攻撃的サッカー」を標榜しているわけですが、そうなるとかみ合わせとしてクロップのスタイルの方が有利ですよね。シティは前に人数をかけるので、リバプールに速攻を仕掛けられた時に後ろの人数が足りず、カウンターの餌食になりやすいですから。

 特に現在のリバプールはサラーとサディオ・マネというスピードと決定力を兼ね備えた強力な両ウイングを揃えているので、お互いのスタイルを貫いて戦った場合、どうしてもペップがやられる確率が高くなってしまいます。

 ただ、僕がこの試合で注目したいのは、後半のリバプールの守備でした。アウェーゴールを狙って攻撃的に戦うシティに対して、前からプレッシャーをかけて守るのではなく、わりと低い位置に人数をかけてゴール前のスペースを閉じて守ることができていました。これは今シーズンのリバプールが成長した点だと思いますし、クロップという指導者がドルトムント時代から進化している部分ではないでしょうか。

倉敷 常にクリーンシートをつくるわけではないけれど、働き者のサラーとマネがいることで、リバプールは両サイドバックの負担も軽い。チェイシングにしてもアプローチにしても、スピードを活かして前線からボールを追いかけ回してくれる。中盤のジョーダン・ヘンダーソン、ジェイムズ・ミルナー、ジョルジェニオ・ワイナルドゥムらも守備に関しては相当気が利いているし、センターバックはフィルジル・ファン・ダイクが加入して安定した。

 シティ戦では高額で獲得したDFの明暗が分かれたわけです。攻撃がクローズアップされるリバプールですが、守備も高いレベルでできないとここまでは勝ち上がれない。それでもシティが無得点というのは正直に言って予想していませんでした。

小澤 結局2試合を通して見た場合、ファーストレグを3-0で前半を終えて、シティが後半に1点も取れなかったことが大きかった。後半の45分間、もう少し工夫があってもよかったのに、何も起こらずに普通に終わってしまった。そこが勝敗の分かれ目になってしまいましたね。

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