ここから本文です

スタインウェイ80年ぶり「新型ピアノ」の魅力

4/22(日) 6:00配信

東洋経済オンライン

ピアノの名門スタインウェイから80年ぶりの新型ピアノ「SPIRIO/スピリオ」が発表された。1853年の設立以来今に至るスタインウェイ165年の歴史の中での久々の新型ピアノとはいったいどんな製品なのだろうか。 

この記事の写真を見る

 新製品への興味と同時に、80年間も新製品を出さずに成り立つスタインウェイ社のゆったりとした時の流れと、すでに完成の極みにあるピアノという楽器のすごさをあらためて感じずにはいられない。

 その注目の新型ピアノ「SPIRIO」の最大の特徴は“自動演奏”だ。クルマ業界における近年の大きな話題が“自動運転”であるように、音楽業界にも自動演奏ブームがやってくるのだろうか。今回は「SPIRIO」を中心とした自動演奏ピアノの魅力に迫ってみたい。

■100年前にはピアノロールが大活躍

 自動演奏ピアノの歴史は意外に古く、まず頭に思い浮かぶのが19世紀末に開発された「ピアノロール」だ。記録紙であるロールペーパーに、演奏に基づいた穴を開け、空気圧によってピアノのハンマーを作動させるピアノロールは、黎明期のレコード録音技術よりもずっとリアルに演奏を再現できたことから、多くのピアニストたちがこぞって録音を残している。

 中でも名高い『コンドン・コレクション』には、20世紀初頭の名だたる作曲家やピアニストの演奏が記録されている。作曲家では、サン=サーンス、ドビュッシー、ガーシュウィン、ストラヴィンスキー、ラヴェル、ファリャ、グラナドス、プロコフィエフにスクリャービンなど。ピアニストでは、ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、コルトー、ホフマン、パデレフスキーなどなど、まさに当時のクラシック界を代表する夢のようなラインナップだ。

 このピアノロールで再生されたピアノの音をCD化したアルバムが『コンドン・コレクション』として発売されているのだが、聴いてみてもどうもピンとこない。正直な話、生きた人間が弾いた演奏に聴こえないのだ。

 資料としての価値はそれなりに高いのだろうけれど、ワクワクしながら鑑賞する素材としては物足りない。それが演奏の信憑性を含めた「ピアノロール」の限界であり、現在までの評価なのだろう。

■現在望みうる最高の自動演奏がここに

1/4ページ