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家造りから「大工」が消える? 効率化の光と影

4/22(日) 6:00配信

東洋経済オンライン

 大工がノミやカンナで木材を削り、穴を開け、柱やはりを組んでいく。何もなかった土地に戸建て住宅が姿を現す――。家を建てると聞けば、そんな風景が脳裏に浮かぶのではないだろうか。

【写真】部材はこんなふうに機械で加工している

 だがそうした建築現場は、もうほとんどない。「昨今の木造建築の95%以上はプレカット工法だ」。住宅メーカー・ポラスグループ傘下で、住宅向けの木材加工で最大手のポラテック(埼玉県越谷市)の北大路康信・専務取締役は、今の木造建築の現状をこう解説する。

 プレカット工法とは、木造住宅に用いる木材を事前に工場で加工し、現場に搬入する工法のこと。大工が現場で一本ずつ木材を加工していく在来工法に代わり、コストカットや工期短縮に資するプレカットが急速に普及している。

■木材加工の「無人工場」

 茨城県坂東市にあるポラテックの基幹工場。ベルトコンベヤーの上を無数の木材が流れていく。

 ドリルやカッターが器用に動き回り、1本の木材を柱やはり、羽柄材(家を支える構造材以外の部材)など、さまざまな部材へと加工していく。

 「工場の生産能力は月8.5万坪」(秋野龍プレカット生産本部長)であり、平均的な戸建て住宅の広さを34.53坪(住宅金融支援機構調査)とすれば、坂東工場の生産分だけで月におよそ2500戸もの家が建つ計算だ。

 加工はすべて機械で行うため、工場内は想像以上に閑散としている。人間の仕事は木材の梱包や運搬、そして機械のメンテナンスだけだ。別の工場ではそれすらも機械化を進めており、「工場内に人間がおらず、真っ暗で懐中電灯が必要なほど」(北大路専務取締役)だという。

 顧客も大手ハウスメーカーから地元の工務店まで広がり、プレカット抜きに木造住宅は成り立たなくなった。

 活況を呈するプレカット市場の背景には、木造住宅の工法の変化がある。かつては柱やはりを組み、筋交いを入れることで骨組みを作る昔ながらの在来工法が主流だった。

 だが1970年代から、コストと工期を圧縮し、住宅を大量に供給するための手法として、柱の代わりに壁で家を支える2×4(ツーバイフォー)やプレハブ工法が主流になっていった。

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