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暴力のない「平和」な学校:真の恐怖とは? --- 實川 瑞樹

5/1(火) 17:20配信

アゴラ

2008年、私は地元の公立小学校に入学しました。大阪の北摂地区、住宅街に大きな公園もあるのどかな場所です。
何不自由なくみんな仲良く、時には喧嘩する、そんなごく普通の学校生活が繰り広げられている。と、あなた方大人の目に映っているのでしょう。暴力のない世界こそが、「平和」だと。本当にそうでしょうか。

授業中に大きな声で隣の友達と会話した。すると、先生に怒られます。怒られた生徒は「あぁこれはだめなんだ」と、自分の過ちに気づき次第にルールというもの学んでいきます。ごく普通のことですよね。これはほとんどの生徒に当てはまることです。では、それ以外は……?

どのクラスにもいるちょっとやんちゃな子をイメージしてください。いわゆるガキ大将という人たちです。
彼らは毎日先生に怒られます。しかし、一行に変化はありません。怒っても怒っても改善しない生徒たちにあなたならどう対処しますか?

諦めた場合、彼らの非行はさらにエスカレートして、その他大勢が健全な学校生活を送ることができません。

では、説教をより効果のあるものに変えますか……?残念ながらそれはできません。「体罰」になるからです。

近年「体罰」という言葉の範囲は拡大する一方なので、説教の際の言葉も強くすることはできません。きつい言葉を使うとつかまります。そう、手段がないのです。野放しにされた彼らにとって学校という環境はまさに天国です。自分がやりたいときにやりたいことができます。しかも怒られるだけで、自分に危害は及ばない。

ですが、やはりそんな彼らも怒られるのは嫌なものです。なので、悪いことを隠します。たかが小学生ですので、隠しても結局は先生にばれます。しかし、先生はその生徒を指導する手段を持たないために、結局抑止することはできないのです。

すると、彼らは隠しても怒られる度合いはたいして変わらない、とりあえず隠せばいい、と考えます。
実際に先生たちが気づかなかった悪事というのは数えきれないほどあります。しかし、それは仕方ないのです。

先生よりももっと偉い人たちが、体罰、「暴力」という手段を奪ったのだから。

また、彼らに酷いことをされた生徒たちは、先生への不信感と社会への絶望を覚えます。自分はこんなに苦しい思いをしているのに、この加害者たちは大した罰もうけずにのうのうと過ごしている……。理不尽だ、不公平だ、自分はルールを守っているのにこんなのばかばかしい、と。

これは小学校だけではありません。中学校も、高校もです。小学校では非行、といっても個人間の嫌がらせなど、まだかわいいものでした。しかし、それ以降は違います。一つ例として挙げると「性」の概念が付きまとってきます。小学校6年間を自由に過ごしてきた不良少年たちが次に求めたものは性でした。どれだけ同級生をいたぶっても自分たちに危害が及ばないことを6年間身をもって学んでいますから、彼らは躊躇なく抵抗のできない生徒をおもちゃのように扱っていきます。

ここではわかりやすい例として姓や不良少年という言葉を使いましたが、今学校という教育現場ではそれだけじゃなく、いじめをはじめとした立派な犯罪から犯罪とは言えない小さないやがらせまで、多種多様な悪行がまかり通っています。それは生徒はもちろん教員にすら止めることはできません。

「体罰」という手段を奪われたから。ここで述べたことはおそらくどんな研究や調査とも矛盾するかと思われます。

塵一つないほどにまでクリーンナップされた学校。その実態を知ることはあなたたち大人には絶対に不可能です。
義務教育の9年間、生徒たちは自分たちを助けてくれない教師、つまり大人への不信感と社会への絶望をたっぷりその身に刻まれます。どれだけ政府や民間団体が調査研究をしようと、真実は見えてきません。信頼していないから。

私は体罰が嫌いです。殴られたくないし、蹴られたくない。傷がつくかもしれないし、痛いから。
暴言を吐かれたら傷つくし、悲しくなる。大切な友人たちや尊敬する先輩たち、かわいい後輩にもそんな目にはあってほしくない。

でも、あなた達大人が同じように子供を教師の暴力から守ろうとした結果、そんなものよりももっと恐ろしい、耐えがたい傷を背負うことになりました。

抑止力をなくした結果、ただの無法地帯になった。それは今学校で起きていることですが、日本全体、いや世界中に広がるのも時間の問題ではないでしょうか。先代たちの多大な努力によって私たちの健やかな生活は壊されました。

今一度、教育をはじめとしたありとあらゆる分野で慎重に議論が必要なのではないでしょうか。

實川 瑞樹
大阪府立高校2年

實川 瑞樹

最終更新:5/1(火) 17:20
アゴラ

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