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乾貴士、エイバル退団を明言。移籍先を明らかにしないのは理由がある

5/1(火) 17:30配信

webスポルティーバ

「ぶっちゃけますけど、エイバルではこれがラストの3試合になる」

 ここまで自身の去就について明言をしなかった乾貴士だが、メスタージャで行なわれたリーガエスパニョーラ第35節、バレンシア対エイバル戦後のミックスゾーンで、エイバルとの契約は今季限りで切れることをはっきりと語った。

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 移籍先については明らかにしていない。その理由は、今季限りでバルセロナ退団を決めているアンドレス・イニエスタと同じことだろう。

 メディアはどこへ移籍するのかをさかんに報道しているが、それを本人が明かさないのは、愛するクラブに別れを告げ、新たな冒険に旅立つことを決めた選手にできる、クラブに対する最後の愛情の表し方なのだろう。シーズンが終わるまではエイバルの選手として100%集中する。頭の中にはひとつのチームのことだけを入れておきたい。きっとそんな気持ちのはずだ。

「エイバルの一員として3試合できる。もちろん終わりが迫ってくるというのは悲しいですけど、残り3試合をしっかりとやり切って、少しでもいい結果を残したい」

 乾の去就については日本でもスペインでも様々な報道がされている。有力な移籍先とされるベティスでは給料が倍額になるといったような報道もあった。

 だが、愛するエイバルを離れる最大の要因は、乾貴士がtakashi inui になっても、昔からその根本にあった、誰よりもボールをうまく扱いたいというサッカー小僧の気持ちにあるに違いない。選手としてうまくなりたい、成長したい、ただその純粋な思いが環境を変えることを決断させた大きな理由だと思う。

「自分のエイバルでの挑戦というのは今シーズンで終わりと、自分自身で決めた。違うところで自分自身をまだまだレベルアップしたいと考えている。もう30歳になるけど、それでも30歳を超えてからレベルアップしている選手たちをいっぱい見てきた。自分もそういうふうになりたいですし、そういう道を今回は選びました」

「エイバルで成長できないと言ったら、それは違う。エイバルでも十分に成長できた。ここでも成長できたと思っているけれども、せっかくスペインに来て、海外でこうやってやれている中で、1チームだけで終わるというのももったいないかなと。難しい挑戦になるとは思うけど、しっかり準備してやっていきたい」

 スコアレスドローに終わったバレンシア戦。一時は嘔吐をするまでの体調不良から回復した乾のパフォーマンスは軽快なものだった。股抜きプレーでエリア内に侵入すると、メスタージャのバレンシアサポーターも、ついつい驚嘆の声を上げてしまうほどだ。

 乾は、難しいスタジアムで勝ち点1を獲得したチームのパフォーマンスを高く評価していた。だが、個人としては「もっといいプレーができた」「もっとチームの力になれた」といつものように反省を口にする。

 新シーズン、これまで積み上げてきた実績と信頼を捨てて、再びゼロからのスタートとなる乾。そこではエイバルでのような成功は約束されていない。きっと苦しい向かい風に吹きさらされる日もあるだろう。

 それでもサッカーがうまくなりたい、自分の大好きなこのスポーツで成功したいという気持ちが乾を後押しする。そして別れを告げることになるエイバルで培った自信と経験は、きっと大きな力になってくれることだろう。

山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi

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