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太極拳と医療的エビデンスをもとに開発された新しい運動メソッド「メディカルタイチ」体験レポ

5/3(木) 9:13配信

@DIME

◆太極拳と医療的エビデンスをもとに開発されたメディカルタイチ
 太極拳というと、中国で年配者が愛好する体操のようなものというイメージが強いが、近年、太極拳の医療効果は「動く医薬」(medication in motion)とハーバード大学医学部から研究発表され、高齢者施設への導入や、太極拳(英語ではタイチ)をエクササイズメソッドにした「タイチエクササイズ」が欧米やオーストラリアでブームになっている。

【写真】太極拳と医療的エビデンスをもとに開発された新しい運動メソッド「メディカルタイチ」体験レポ

 日本での太極拳の愛好者は150万人ほどだが、型を覚えることが主流で理論的な部分はあまり追求されていなかった。しかし欧米で医学的根拠に基づく太極拳がクローズアップされる中で、日本でも太極拳をベースに、医学的なエビデンスに基づいて開発された運動メソッド「メディカルタイチ」が、健康、美容、ダイエットの面から、ヨガに続くネクストエクササイズとして注目されている。

 メディカルタイチを実践している「タイチスタジオ」では、白澤抗加齢医学研究所の白澤 卓二医師、国際医療福祉大学の和田 秀樹医師など数々の医療機関と連携し、効果が実証されたプログラムを提供している。

 太極拳の特徴である体重移動を伴った流れるような動きの中で、多くの関節と筋肉を同時に動かす、感覚器官を働かせる、心肺機能を高める有酸素運動の3つの要素を取り入れたオリジナルプログラムで、内蔵の状態などを含め、体の中からトータル的にサポートをするレッスン内容になっている。

 太極拳世界チャンピオンといった伝統的な太極拳を実践する選手が講師陣として所属しており、今回メディカルタイチをレクチャーしていただいた市来崎 大祐さんは、6歳から武術太極拳「長拳」を始めて、全日本武術太極拳選手権大会で長拳 6連覇を果たすなど、日本における武術太極拳のエースでもある。

「通常の筋力トレーニングでは鍛えにくい、瞬発力などに使うエキセントリックトレーニング(速筋強化)は、太極拳や日本舞踊のような中腰になる姿勢が効果的とされます。また、速筋は30代になると急激に衰えていくので、このトレーニングを使った太極拳は基礎代謝の向上にも効果的です。

 ストレッチやヨガの場合、一つの方向に伸ばす運動が多いですが、太極拳の動きは3Dムービング。さらに陰陽マークに象徴されているような、ワンポーズで終わらず循環しながら、常に動き続けるのが太極拳の大きな特徴といえます。太極拳は円の運動、腰の回転もありいろいろな方向に3次元に動くので、全身をまんべんなく動かすことができて、体への負担も少ない。一方向で止める動きの場合、とくに高齢者には負荷が大きくなりますが、人間の関節は円運動ができる仕組みになっているので、呼吸とともに軽負荷で少しずつゆっくり動き続けることで、負荷をかけずに運動を行うことができます」(市来崎さん)

 野球やボクシングなどの選手にも必要とされ、実際に指導することもあるという入脱トレーニング。野球のイチロー選手がケガをしないためにフェンス際で力を抜くなど、脱力を意識しているという話は有名だが、力を入れる前に脱力するとスムーズに体重移動ができるため、入脱を会得することがアスリートにも有利になる。

「呼吸と共に力を抜く、自分に意識を向けることがとても大事で、力を抜くというのは太極拳にしかない動作です。私も6歳のころから長拳という早い動きがメインの武術をやっていましたが、20歳ぐらいのときに早さとは何かを知るために真逆の太極拳を始めました。緩めることがわかると力を出すこともできて、その振り幅が広いほどパフォーマンスは上がります。10代のころは大雑把な動きだったのが、太極拳に取り組んでから体の使い方が上手になり緻密に動けるようになりました」(市来崎さん)

 レッスンではメディカルタイチの基本動作である「八段錦」、体をほぐすことをメインとするストレッチベース、マットを使った動きなど、レベルや状態に合わせて臨機応変に行っている。ダイエット、ヘルス、メンタル、ビューティーアップ、ヒーリングといった目的別のクラスから、伝統的な太極拳クラスもあり、コンディションや目的別に選ぶことができる。

「八段錦も実際には八つの動きをすべてつなげて流れるように行います。ワンポーズではなくムーブする、体を連動させることが太極拳の大きな特徴。レッスンに来ていただいた方には、動く体になってもらうことを目指しています。股関節が緩まないと腰が緩まない、腰が緩まないと肩も緩まない。結局、体をうまく使うことを覚えるのが大切なのです。太極拳は負担になっているものをまず無くすという引き算の考え方、つまりデトックスです。その上で自身の体に合った漢方、ツボ、経絡刺激などの考え方から心身のバランスを整え、必要な食事を適切に摂るなどトータルな健康を目指します」(市来崎さん)

【AJの読み】運動していない歴10数年の記者が体験レッスンに挑戦
 執筆作業のため同じ姿勢で10時間近くパソコンに向かい合っているため、肩もがちがちに凝って、股関節が痛むもこともしばしば。運動不足は自覚しながらも、今さら激しいトレーニングやエクササイズはできないし、ヨガでもできないポーズが多いため余計にストレスを感じ、10年以上運動から遠ざかっている。自分にもできる運動はないかと思っていた矢先、ゆっくりとした動きで、体がかたい人でも無理なくできるメディカルタイチがあると聞き、「タイチスタジオ」銀座校にて体験レッスンに参加した。

 スタジオのロビーには、漢方茶やハーブが並ぶ「タイチカフェドリンクバー」が。最初に体質チェックチャートにて、体内の気血水のバランスをセルフチェック。チャートにはボディバランスの偏りが表れるので、その状態に合わせた茶葉やハーブを自身でカスタマイズする。漢方茶はレッスン中の水分補給としてスタジオに持ち込んでもOK。

 武術太極拳のエースで、現役バリバリ、しかもイケメンの市来崎先生に、体が全く動かない私を指導してもらうのか……と恐縮しながらレッスン開始。重心を真下に意識して、肩幅に足を広げて腰を落とし、木が大地に根を張るイメージの「立禅」が太極拳の基本の立ち方。ダンスのジャンプなどのような上に向かっていく運動と違い、下に下にと意識して腰を落とす所作で、背筋をピンと伸ばすいわゆる良い姿勢(そり腰)とは異なる立ち方だ。

 八段錦のいくつかの所作を体験したが、股関節を開いて立つだけですでに足腰が悲鳴を上げ、関節がぽきぽき鳴っている。弓を引くポーズ、こぶしのポーズなども挑戦したが、腰を落とすとお尻が出っ張ったへっぴり腰になってしまい、お手本の市来崎先生とはまったく異なる様相を呈している。

 太極拳の流れるような動作の連続も実践してみたが、手と足を同時に動かしながら移動していくだけで頭が大混乱。実際は呼吸と合わせて行うのだが、呼吸などほぼ止まっていた。写真を見ると一人だけ盆踊りのような状態になっている……。

 酸素を多く取り組んで脂肪を燃焼する有酸素運動では糖の燃焼効率が悪く、糖質を燃焼したい場合は瞬発的な動きが必要となる。両方兼ね備えているのが太極拳の負荷で、太極拳は軽運動だが脂肪と糖の燃焼効率が良いとのこと。確かにメディカルタイチで1時間動いても、ジムでのトレーニングのような激しい疲労は感じなかった。真冬でも10分歩いただけで汗びっしょりの私が、じんわり汗がにじむほどだったことも驚いた。初めての太極拳だったので、動きや呼吸に戸惑ったが、慣れてくれば私のような中高年でも継続してできる運動だと実感した。

「激しい動きはしないので、忙しい人こそ1時間のレッスンでリラックスしながら体をほぐしてほしいですね。できれば毎日やるのがベストなので、動きを覚えたら家でも実践するとさらに効果的です」(市来崎さん)

 太極拳は年齢を問わず挑戦できるスポーツといえるが、拳の文字からもわかるように本来は武術。武術マインドを習得でき、マインドフルネス効果も期待できるため、男性や、運動の苦手なハードワーカーにもぜひ挑戦してほしいスポーツだ。

文/阿部 純子

@DIME

最終更新:5/3(木) 9:13
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