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アイドルは想像を絶する「サバイバー」だった

5/3(木) 6:00配信

東洋経済オンライン

戦慄かなの、19歳。現役大学生のアイドルだ。
まだ、生まれてから19年しか経っていない彼女の人生だが、その歩みは想像を絶する。
虐待、非行、少年院を乗り越えて、アイドルになった彼女が目指すものとは? 

【写真】女子少年院を経てアイドルになった「戦慄かなの」の素顔

■16歳から1年8カ月を少年院で過ごした

 4月某日に行われた、ある大学の入学式。新入生のなかにひとり、2年前まで、女子少年院で机に向かっていた女性がいた。

 「戦慄かなの」さん。目がひときわ大きく、色が白い。西洋人形のようなその外見から、「女子少年院」という言葉はイメージできないが、16歳から1年8カ月をそこで過ごした。

 新入生にとって、大学の入学式は出会いの場でもある。それぞれが新しい友だちを作ろうと言葉を交わす周囲の中で、戦慄さんは静かにその場を離れた。キャンパスライフという言葉で表現される、明るく、健全な雰囲気に、居心地の悪さを感じていたのだ。

 「友だちを作るつもりはないし、作れませんから。大学生活を楽しみにしているわけでもないし」

 そう話す戦慄さんだが、大学の合格通知を受けたときには、涙を流して喜んだ。やりたかったことに、一歩近づいたからだ。その目標は、戦慄さんの生い立ちに、深くかかわっている。

【お母さんに「あんた発達障害なんじゃないの」って言われたまじウケる! もしそうだとしてもお前が私のこと殴りすぎて脳細胞潰れまくったとか彼氏と出掛けたきり一週間帰ってこなくて成長期なのに飢死しそうになったから脳みそに栄養行かなかったとかそんなんが原因じゃないですかね】(戦慄さんのツイートから引用/@CV_Kanano)

 戦慄さんの生活は、母親、妹と3人で暮らし始めた小学生のときに、激変した。ひとりで娘ふたりを育て始めた母親は、やがて育児よりも自分を優先するようになった。

 戦慄さんの記憶に刷り込まれている出来事がある。待てど暮らせど、母親が帰ってこない。1日、2日、3日、4日……。でも、幼い妹を連れて家を出るのは怖いし、おカネもない。誰かに助けを求めようという考えも浮かばなかった。ただただ、空腹を紛らわせるために、水道から水を飲んでいた。母親が帰宅したのは、1週間が経ってからだった。

 母親は働いていたので、貧困状態だったわけでもない。ただ、育児に関心を持てず、子どもを持て余していたのだろう。戦慄さん本人も認めているが、完全なる「ネグレクト(育児放棄)」状態で、戦慄さん姉妹はお風呂に入って体を洗う、歯磨きをする、服を着替えるといった、「当たり前」に思えるような生活の行為を教わることなく、放置された。

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