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オシムが語るハリル解任「腐ったリンゴの排除か、監督交代しかない」

5/10(木) 11:21配信

webスポルティーバ

 W杯を直前にしたハリルホジッチ解任劇を、ハリルにとって同郷(ボスニア・ヘルツェゴビナ)の先輩であり、日本代表監督の先輩でもある「彼」はどう見ているのか。イビツァ・オシムはオーストリア第2の都市グラーツにいた。その町の病院で半年に1回、検診を受けなければいけないのだという。「でも安心してほしい。現在の体調はいたって良好だ」というオシムを、旧知のクロアチア人ジャーナリストが直撃した。

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* * *

 ハリルホジッチの解任以降、多くの人々が私の意見を求めてきた。私のことをよく知っている人であれば、私がこうした他人の問題に首を突っ込む人間でないことは、よく知っていることだろう。

 正直、ハリルホジッチと選手、そして日本サッカー協会との間で何があったのか、私は知らない。ただ、サッカー協会が一朝一夕にこの件を決断したわけではないだろうことはわかる。熟考の末の決断であったはずだ。

 チームがこのままでは機能しないと思われたときには、監督か選手を代えるしかない。しかし選手全員を取り代えることは困難だ。そんなときに一番手っ取り早いのは、腐ったリンゴを取り出すことだ。腐ったリンゴは放っておけば、周りのリンゴも腐りだす。監督は原因を作っている選手を特定し、速やかに排除しなければならない。だが、それもできないときは……監督を代えるしかない。

 チームをW杯にまで導いた監督を解任するのは、決して褒められたことではない。とにかく彼はひとつの目標を達成しているのだ。

 ただ、以前にこんな話を聞いたことがある。日本がまだW杯予選を戦っていた頃、ハリルホジッチは一度、中国行きを考えたことがあったということだ。噂によると年俸800万ドル(約8億8000万円)という莫大な額のオファーを受けたらしい。

 こんな話が舞い込んだら、どんな監督でも心が揺らぐことだろう。今、自分がしている仕事を、強い信念を持ってやっている者だけが、このとんでもないオファーを、「今の契約が終わるまでは無理だ」と断ることができる。ヴァヒドはそうした。

 ただし、彼はこのオファーの話を誰にもすべきではなかった。何より、W杯がまだ始まってもいないうちから、「大会後、自分は日本代表監督の座を去る」と宣言すべきではなかった。今回のハリルホジッチの解任は、ここにも原因があったのではないかと私は推測している。

 解任の理由は、選手たちが不満を持っていたからだけではない。

 選手とは往々にして監督に不満を持つものだ。特にキャリアの終わりに近いベテラン勢は、不満を多く抱えている。監督時代、私もこの点にかなり悩まされた。彼らはすでに名声を確立し、プライドも高い。引退に向けての花道を探しており、ベンチに座ることを受け入れられない。たぶん、ハリルジャパンでもまさにこの現象が起こっていたのだろう。

 ヴァヒドはとても頑固な人間だ。彼は誰かに相談をしたり、助言を求めたりはしない。そのツケを彼はこれまで何度も払わされてきた。ただ……私もまた、彼同様に頑固な人間だ。そして監督たる者、そうでなければならないと思う。

 しかしその場合、自分の信念を、自分のあり方を、きちんと説明することを怠ってはいけない。監督は自分の考えを明確に持ち、それをサッカー協会の人間にはっきりと伝えなければならない。そして、もしそれが受け入れられないようであれば、そのときは辞任するしかない。泣き言は言わず、堂々と去るべきだ。

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