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敗戦後の空港ロビーで見た幸せな光景。主将・中田翔が起こす化学反応とは?

5/11(金) 10:31配信

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「1人と撮ったからみんなともすべき」

 近寄りがたいキャラクターでもある中田選手。

 その中には勇気を振り絞って歩み寄った方々も、きっといただろう。中田選手の心意気も含め、見て見ぬふりをすべきケース。その時の適切な「広報判断」だと考えた。

 後日、聞いた。なぜ、丹念にその求めに応じたのか――。中田選手の返答は、明快だった。

 「最初に子供が1人でおって、その子にお願いされて撮ったんよ。1人と撮ったからみんなともすべきやろ」

 至極、まっとうなポリシーだった。

 見た目そのまま、メディアを通じて知られる言動などでも顕著である。中田選手は、おとこ気にあふれるタイプ。特に女性と子供には、チームでも他の追随を許さないくらい優しいのは、球団内の共有事項だ。

 移動のバスの車中から、街頭から手を振ってくれるファンの方々にも、手を振り返して、または会釈をして気さくに応じることもある。

こどもの日のインタビューでのアドリブ。

 冒頭のシーンだけではなく、よくファンの方々と触れ合うシーンを目にするが、敬服するほど体温を感じるコミュニケーションを取る。しかも、さりげないのである。私たち広報も含め、球団職員に対しても同じである。

 5月5日の「こどもの日」に、中田選手は本塁打を放った。大田泰示選手とともに札幌ドームのお立ち台に選ばれた。同日は、インタビュアーが子供2人。父でもある2人で息を合わせて、心温まるアドリブを敢行した。

 本拠地ではヒーローインタビュー終了後に、内外野をランニングして場内を1周するのが慣例。本来は、その子供2人はお立ち台でお役ごめんだったが、両選手で「いくぞ」と声を掛けていた。一緒にウイニングランをした。

 その子供2人の喜ぶ姿と、興奮した表情に、その粋な計らいの価値が表れていた。

野球人生初となるキャプテン。

 今シーズン、中田選手の思いの詰まった言動は確実に増えた。栗山英樹監督が、その資質をくすぐる手を打ったのである。昨年11月のファンフェスティバル。中田選手を2018年シーズンのキャプテンに任命することを発表した。場内は騒然。本人も「歓声とブーイングが入り交じってたな」というサプライズだった。エリート街道を歩んできた野球人生で、初めての肩書きの大役を背負うことになったのである。

 そして今、立派に務めていると感じている。これまでは、好不調によって感情の波が激しく、グラウンド上での言動にも表れる場面を見聞きしたこともあった。それは、時に全力疾走を含めた走塁などプレーの細部にも明らかに反映されていた。

 今シーズンは、変化した。凡打でも足を緩めず、一塁まで駆け抜けるシーンが増えた。後輩たちが活躍すれば、ベンチで無邪気に喜び、納得がいかない打席があっても心を静めてグッとこらえる。

 自らの一挙手一投足が、士気に影響する。そんな秘めた自覚を、身内でも感じている。

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最終更新:5/11(金) 12:05
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