ここから本文です

YOSHIKI×影山ヒロノブ&きただにひろしが夢の共演! アニソンとヴィジュアル系のレジェンドによる歴史的対談の意義とは?

5/12(土) 16:00配信

週刊SPA!

<文/山野車輪 連載第28回>

◆海外から熱い注目を集めているジャパメタ!

 これまで日本を代表するポップカルチャーは、マンガ・アニメ・ゲームなどだった。しかし近年は、日本のアーティストが海外で活躍する話を聞くようになった。海外における日本の評価向上と合わせて、国産ミュージックの注目度が飛躍的に高まっているのである。

 なかでも、LOUDNESS、BABYMETAL、DIR EN GREY、L’Arc-en-Ciel、MIYAVIなどロック系、そのなかでもとくにメタル(ジャパメタ)勢が強いと言えるだろう。

 ここにはJAM Projectも含まれる。JAMの楽曲はヘヴィメタル色が濃く、バックバンドもジャパメタ人脈が多い。国内では、TVなどで音楽番組を観る機会が減り、音楽シーンは死んでいるような認識があるが、日本のロックおよびメタルは、海外から熱い注目を浴びており、海外進出するアーティストが増えているのである。

◆世界最大級の米コーチェラ・フェスにX JAPANが初参戦!

 そのなかで最前線に立つアーティスト=X JAPANは、4月14日と21日(現地時間)、世界最大級の米国フェス「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル」に初参戦した。

 X JAPANのステージには、ゲストとして招聘されたGUNS N’ ROSESのリチャード・フォータスとLIMP BIZKITのウェス・ボーランドという2人の豪華ギタリスト、そしてマリリン・マンソンも立った。

 X JAPANが登場する日のステージのヘッドライナーは世界の歌姫=ビヨンセだったが、X JAPANも別ステージでトリを務め、圧巻のパフォーマンスを見せて世界中で話題となった。

◆アニソンとヴィジュアル系のレジェンドが夢の初共演!

 そして、凱旋帰国するYOSHIKIと影山ヒロノブ・きただにひろし(JAM Project)との豪華対談が、5月18日、YOSHIKI CHANNELにて放送される。この初対談は、ある意味、日本の音楽史に残る歴史的な意義があると言えるだろう。

 海外でもっともカヴァーされている日本の音楽は、アニソンとX JAPANであり、影山氏とYOSHIKIはその頂点に立つアーティストだ。影山氏は、日本人アーティストのなかでは海外公演をもっとも多く行なっているアーティストとされている(ソロとJAM Projectを合わせて)。X JAPANも再結成以降、幾度もワールド・ツアーを行なっており、米マディソン・スクエア・ガーデンや英ウエンブリー・アリーナなどの大ステージに立っている。

 筆者は、この対談が行なわれることに驚きを隠せない。と言うのも、3人ともミュージシャンでありながら、オタクシーンとロックシーン、活動する場、取り上げるメディア、そして支持するファン層などまったく別であり、タコツボ化しているシーンの壁を越えた3人のレジェンド対談だからだ。

 とは言え、これは表面的な薄っぺらい捉え方に過ぎない。3人の本質、つまり活動の核となっている音楽性は同じもの。それが「ジャパニーズメタル(ジャパメタ)」であることは、この連載をお読みくださっている読者には、今さら言うまでもないことだろう。本連載「ジャパメタの逆襲」では、これまで影山氏やX JAPAN、BABYMETAL、そしてアニソンに絡んだメタル系アーティストを幾度となく取り上げて論じてきた。

◆3人の音楽性に影響を与えたLOUDNESS

 さて、当日(18日)はどういうことが語られるのだろうか。筆者が思うに、おそらく、LOUDNESSという固有名詞が30回くらい出るのではないかと思う(誰か数えててください)。何しろ、LOUDNESSはジャパニーズメタルの始祖なのだから。

 しかしそれだけではなく、影山氏率いるJAM ProjectとX JAPANには、それぞれLOUDNESSとの縁がある。

 影山氏は、氏の最初のキャリアであるLAZYで、LOUDNESSの高崎晃氏および故・樋口宗孝氏と同じメンバーだったことはよく知られている。

 きただに氏は、JAM Project加入前、自身がメンバーのLapisLazuliで、樋口氏プロデュースによる1stアルバム『KNOCK AROUND』(1999年)を発表している。

 そしてYOSHIKIも、Toshlと学生時代に組んでいたバンドで、LOUDNESSの「In The Mirror」を演奏しており、また、TAIJI<b>がXの次に加入したバンドは、なんとLOUDNESSだったのだ。樋口氏がTAIJIのベースを絶賛していたことは有名な話だ。

 これだけでも、そもそもLOUDNESSが存在していなければ、日本のヘヴィメタル・シーンはまったく違うものになっていたと断言できる。

 また、他の共通点を上げると、振り返ってみれば、影山氏とX(X JAPAN)が最初の大ヒットを飛ばしたのは同じ年のことだった。影山氏の出世曲であり代表曲でもある「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のヒットと、Xのメジャーデビュー曲であり代表曲でもある「紅」、そして「ENDLESS RAIN」のヒットは、どちらも1989年だったのである。

 1989年は、ジャパメタという音楽シーンに於いても重要な年だったのだが、今回のテーマから外れるので、興味ある方は拙著『ジャパメタの逆襲』をお読みいただければ幸いだ。

◆影山ヒロノブとYOSHIKIの意外な共通点は『聖闘士星矢』

 影山氏とYOSHIKIの共通点として忘れてはならないのが、同じアニメシリーズのアニソンを歌っていることだろう。そのアニメシリーズとは『聖闘士星矢』である。ご存じのとおり影山氏は、影山ヒロノブ&BROADWAY名義で、1986年から放送されたTVアニメの2ndOP「聖闘士神話~ソルジャードリーム~」(1988年)を歌っている。

 対してYOSHIKIの方は、YOSHIKI feat. Katie Fizgerrald from Violet UK名義による楽曲「Hero (Yoshiki Classical Version)」(2014年)が、劇場用アニメ『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』(2014年)の主題歌に使用されている。X JAPANおよびYOSHIKIが手がけたアニソンは少ないが、影山氏とYOSHIKIには、『聖闘士星矢』という共通点があるのだ。

 蛇足となるが、『聖闘士星矢』はジャパメタ・アーティスト御用達のアニメと言える。最初のシリーズでは、1st OPでMAKE-UPによる「ペガサス幻想」(1986年)が起用され(MAKE-UPはLAZY~LOUDNESSの後輩バンド)、2012年から放送された『聖闘士星矢Ω』の78話以降の3rdOPでも、嬢メタル・バンド=Cyntiaによる「閃光ストリングス」(2013年)が使われている。

◆X JAPANもアニソンを手掛けていた!

 というわけで、対談ではまず間違いなく、X JAPANとその周辺アーティストが手がけたアニソンの話題も出るだろう。

 X JAPANは、「Forever Love」(1996年)と、「Scarlet Love Song」(2011年)の2曲がアニソンとして使用されている。

 「Forever Love」は、CLAMPによるマンガを原作とした劇場用アニメ『X』(1996年)に使用された。本楽曲の歌詞は、同アニメの絵コンテを読んで作詞されている。そしてもう一曲「Scarlet Love Song」は、劇場用アニメ『手塚治虫のブッダ――赤い砂漠よ! 美しく――』(2011年)主題歌に使用されている。

 X JAPANの楽曲は、インディーズ時代からアニソンっぽいと揶揄されてきた。例えば、インディーズで発表された2ndシングル「オルガスム」B面①「X」は、『ロッキンf』(1986年8月号)で、「TVのアニメの主題歌とカン違いしてしまいそうな冗談っぽさがある」と評されている。同楽曲は、現在に至るまでライヴのトリで演奏されるX JAPANの代表曲の一つだ。

 しかし意外なことに、アニソンと揶揄されたX JAPANの歌謡スピードメタル路線の楽曲が、実際にアニソンに使用された例はない。

 X JAPANメンバーによるアニソンに使用されたソロ楽曲も見てみよう。Toshlは、TOSHI with Night Hawks名義「Breath of Fire」(1993年)が、スーパーファミコン用ゲームソフト『ブレス オブ ファイア 竜の戦士』CMソングに使用されている。

 原曲は、NIGHT HAWKSのベスト・アルバム『THE MIDNIGHT HAWKS』に収録。また、Toshl(TOSHI)の3枚目のシングル「PARADISE」に、カップリング曲として、タイトルと歌詞違いのヴァージョンの「RUNNING WILD」が収録されている。

 そしてHEATH<b>は、「迷宮のラヴァーズ」(1996年)が、『名探偵コナン』EDテーマとして使用されている。

 さらに、YOSHIKIが作詞・作曲し、GLAYが歌った「RAIN」(1994年)が、TVアニメ『ヤマトタケル』(1994年)EDテーマに使用されている。

◆アニソンを手掛けていたV系バンドたち

 オタクとV系の共通点は、ゴスロリファッションだけではない。実際に、90年代は、アニソンにV系バンドが起用されるケースが多かった。SUGIZOは、LUNA SEAにていくつかのアニソンおよびゲームソングをやっているが、数が多いので割愛させていただく。また、GLAYのほかZI:KILLやmedia youthなど、YOSHIKIが設立したエクスタシー・レコード所属および出身アーティストも、多くのアニソンを手がけている。

 アニソンを任されるということは、V系ファンのみならず一般ユーザーにまで聴かれるということであり、真の意味でのメジャーバンドに見られるという意味を持つ。その意味でアニソンは、V系の勃興・定着に貢献したと言えよう。オタクとV系のファンが重なる傾向は、V系黎明期の歴史によるところが大きい。

◆今後X JAPANにぜひ手がけてほしいアニソンは?

 今後、もしX JAPANがアニソンを手がけるのであれば、海外で受け入れられるアニメ作品であってほしい。そしてそれは、マンガ家=永井豪系譜のロボットアニメではないだろうか。具体的には、本命『UFOロボ グレンダイザー』、次点『鋼鉄ジーグ』あたりだろうか。いずれ『グレンダイザー』の新作が制作されることもあるだろう。そのときはぜひ、X JAPANに主題歌を歌ってもらいたい。

 ところで、X JAPANともっとも相性の良い永井豪作品といえば、特撮人形劇『Xボンバー』(1980年)であると筆者は考える。

 作品タイトルとロボットの顔に「X」が入っており、TV放送時にOPテーマ「ソルジャー イン ザ スペース」を手がけたのは、ハードロック・バンド=BOWWOWだった。『Xボンバー』は、特撮人形劇『サンダーバード』の母国である英国で人気があったようだ。

 hideは、BOWWOWの山本恭司氏をリスペクトしており、『ロッキンf』(1990年5月号)掲載の2人の対談記事で、「(BOWWOW、山本恭司のことを)青春でした(笑)。でも、ホントにそうだもん!」と述べている(多分、照れながらの発言だと思う。ツンデレ入っているので)。

 X JAPANヴァージョンで「ソルジャー イン ザ スペース」のカヴァーを演れば、天国のhideも喜ぶのではないか。またhideと言えば、JAM Projectメンバーの遠藤氏との奇縁があったことは連載第26回で書いたとおりだ。

 今回は、語ることが多く、そして筆者のテンションも沸騰している。影山氏およびJAM Projectと、X JAPANの共通点そして概要を綴れば上記のようになるが、そのバックボーンは、非常に大きく、とても説明しきれるものではない。

 先述のとおり、オタクと音楽はコミュニティが別とされてきた。しかし、アニソンとジャパメタは非常に近しい関係にあり、海外を舞台に、日本発の人気ポップカルチャーとして燃え上がっている。その先頭に立って道を切り開いている影山氏・JAM ProjectとX JAPANの今後の活躍に目が離せない。

【山野車輪】

(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)

日刊SPA!

最終更新:5/12(土) 16:00
週刊SPA!

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊SPA!

扶桑社

2018年5月29日号
05月22日発売

¥420

・中年男(オジサン)の30年史
・W杯日本代表がロシアで勝つ方法
・京大「立て看板」強制撤去を追う
・「純愛おじさん」事件簿