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前川喜平氏を呼びつけた首相補佐官の正体――「官邸官僚」の研究

5/15(火) 7:00配信

文春オンライン

 平穏だった国会が財務省の文書改ざんの発覚を契機に炎上し、今も沈静化する兆しが見えない。与野党攻防のテーマは「いつ、何のために、誰の指示で公文書を改ざんしたのか」だ。それは、明確な犯罪行為に対するすこぶる単純な疑問の解明というほかない。

【写真】和泉の最初の転機である人事をおこなった上野公成

 だが、その解明がなかなか進まない。原因の一つは、文書改ざんの動機が「忖度」という目に見えない内心問題にすり替えられ、「指示」系統がはっきりしないからだ。

「まさか首相自らが、公文書偽造という犯罪を指示するわけがない」

 そう信じている国民感情も理解できなくはない。が、反対に誰の指図もなく、官僚が自ら犯罪に手を染めるのも不自然だ。そんな「忖度」問題に触れるにつけ、一連の森友・加計問題におけるもう一つのキーワードを思い出した。「総理のご意向」である。

高級官僚を動かしているキーパーソンの一人

「総理が自分の口からは言えないから、私が代わって言う」

 加計学園の獣医学部新設を巡り、当時、文部科学事務次官だった前川喜平(63)にそう迫ったとされるのが首相補佐官の和泉洋人(64)だ。

 2016年9月9日、和泉から官邸4階にある自室に呼び出され、国家戦略特区での獣医学部設置について早急に対応するよう、圧力をかけられた――こう告発する前川とともに昨年7月、国会に参考人招致された和泉は、前川との面会の事実は認めたものの「(総理に代わって云々とは)言わなかったと思う」と言葉を濁していた。

 今の安倍晋三政権は、政権ナンバー2である官房長官の菅義偉と副総理兼財務大臣の麻生太郎に支えられているという。が、その実、霞が関の官僚抜きではとても政策の立案や行政の執行がおぼつかない。

 一強と持て囃されてきた安倍政権の政策を実現する官僚たちを従え、指図してきたのは誰か。事実上、高級官僚を動かしているキーパーソンが存在する。そのうちの一人が、首相補佐官の和泉である。加計問題で評判になったように、文字どおり首相や官房長官になり代わり、ときに中央省庁の幹部たちを呼びつけ、直接指令を飛ばしてきた。総理の影が官房長官の菅なら、和泉は影の影とでもいえばいいだろうか。いまや霞が関最強官僚の一人といっていい。

 一口に霞が関のキャリア官僚といっても、入省時の立場により、すでに序列ができているのは、よく知られている。外交官試験のあった外務官僚は別格として、国家公務員総合職1種合格者の人気は、財務省を筆頭に、総務省や警察庁、経産省などに集中し、試験の上位者が入る。財務官僚は、試験の成績トップ10でなければ出世できないといわれる。

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最終更新:5/15(火) 7:33
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