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デュッセルドルフに咲いた二輪の花…宇佐美貴史と原口元気、日本代表デュオはいかにして復活を遂げたのか

5/15(火) 17:53配信

SOCCER DIGEST Web

“ヒーロー”宇佐美のコールに大歓声が

 5月13日のドイツ・ブンデスリーガ2部最終節で、フォルトゥナ・デュッセルドルフはニュルンベルクとの直接対決を制し、見事優勝を果たした。
 
 過酷なアウェーマッチで、しかも2点を先行される苦しい展開。それでも37分に宇佐美貴史が反撃の口火となるヘディングゴールを決めると、59分に同点に追いつき、91分に逆転弾を挙げた。引き分けならニュルンベルクが優勝という状況だっただけに、まさにドラマチックな展開での戴冠となった。
 
 翌14日には地元デュッセルドルフ市庁舎で、市民に向けた優勝報告会が行なわれた。選手一人ひとり、スタジアムのキックオフ前のように名前が呼ばれ、市庁舎のバルコニーに登場する。ニュルンベルク戦で得点を決めた宇佐美はさながらヒーローだ。とりわけ大きな声援に包まれた。

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 昇格と2部優勝を決めた直後も、報告会でも、宇佐美と原口元気はとても嬉しそうな表情を見せた。ともに長きに渡る不振からついに脱却できた、それを実感しているからこその笑顔だ。
 
 宇佐美にとってシーズン前半戦は、リハビリに近いものだった。前所属のアウクスブルクで実戦から遠ざかっていたため、コンディション調整に時間がかかったのだ。冬の移籍市場で原口が入団してくると、いよいよエンジンがかかった。「調子が上がったの、全部元気くんのおかげって書かないでくださいよ!」と念を押されることもあったが、実際にパフォーマンスが向上したのは原口が加入してから。28試合に出場して8得点、ラスト3試合はほぼフル出場で、かつ優勝が懸かった最終戦でチームを反攻に転じさせるゴールを決めた。ドイツ4クラブ目で初めて目に見える活躍を果たし、手応えを掴んだのだ。

「あれで守備までできるようになったら適わない」

 かたや原口は、脳しんとうで離脱するという不運に見舞われながら13試合で1得点。彼もまたヘルタ・ベルリン時代に失なった実戦勘を取り戻すところからスタートした。1部クラブからの冬の移籍とあって、昇格と優勝を請け負う存在と自認する。一時期、負け試合の後に「敗因は俺」と語るなど、大きななにかを背負っているようでもあった。
 
 ヘルタではサイドで守備に奔走する汗かき役で、見ていて不憫にさえ思えたが、ここデュッセルドルフではゴールに積極的に絡んでいけた。サッカーをする喜びを取り戻した、それがなによりの収穫だったに違いない。「久々にこんなに信頼して使ってもらえて。とりあえず預けておけと思ってもらえている」と、充実を口にする。前線の便利屋ではなく、優秀なサイドアタッカーとしての声価をふたたび高め、本来の姿を取り戻したのだ。
 
 原口は宇佐美の能力を高く評価し、「あれで守備までできるようになったら適わない」と評する。一方の宇佐美は、原口のストイックさを横目で見ながら学んだ。ふたりは揃って着実に、初のワールドカップに歩を進めた。
 
取材・文●了戒美子

最終更新:5/15(火) 18:01
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