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館山昌平は松坂世代の中でも独特の雰囲気とカラーの持ち主です/田中大貴コラム

5/16(水) 11:01配信

週刊ベースボールONLINE

兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサー・田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材。テレビで報じられなかった至極のエピソードを、コラムにして綴る。

【第2回のPICK UP PLAYER=館山昌平[東京ヤクルト/投手]】

丸刈り頭の秘密

「タテ、そういえば、どうして丸刈りなの?」

 館山昌平の向かいに座っていた僕と和田毅が、ふと、そんな質問をしました。

「この頭ね……(笑)。左腕の腱から、右ヒジに腱を移し変えるでしょ。そうすると両手が動かない状態が続いて髪さえ触れない……。ヒジにメスを入れ始めてからずっと丸刈りなんだよね」

 館山らしく、平然と答えていました。ただ、僕と和田は何気なく聞いた質問に、こんな答えが返ってくるとは想像しておらず衝撃さえ受けました。10度の手術。あわせて175針。まさに壮絶な手術を経験してきました。館山の髪型が丸刈りである理由には館山という投手の人生が現れているのだと思います。

 いまから2年前、和田毅が日本球界に復帰し、久々の東京遠征に来るというので、食事に行く約束をしていました。そこで、リハビリ中だった館山も呼び、松坂世代話に東都、六大話、トミー・ジョン仲間話で盛り上がろうという話になりました。

 ヒジの側副靱帯再建手術、いわゆるトミー・ジョン手術を3度も経験した館山とメジャー・リーグ挑戦中にアメリカでトミー・ジョン手術を行った和田。どんな話が聞けるのか……普段から同級生ということで仲良くさせてもらっている2人ですが、内心とても楽しみにしていました。

 席に着くなり、館山が質問攻めです。

「メジャーのマウンドに上がる感覚はどんな感覚?」

「ボールの滑りは?」

「気候にかなり影響される?」

「中4日のローテは慣れる?」

「やっぱり行くべき場所?」

 興味津々に質問を続ける館山。その館山の質問に苦笑いしながらも一つひとつ丁寧に答える和田。

「タテ、メジャー行きたかったの?」と僕が聞くと、「いやいや俺には絶対に行けない場所、トライしたくてもできない場所、でも野球選手としては夢の場所。話を聞きたくて仕方ないんだよ……。いやあ、本当に凄いよ、和田は」。焼肉を食べることを忘れて、メジャーへの興味を矢継ぎ早にぶつける館山の表情はまるで子どものようでした。そして、同い年でありながらメジャー挑戦を果たした和田への大きな敬意を払う姿が印象的でした。

 あくなき向学心と敬意の心。これが松坂世代の館山昌平という人間の最大の魅力だと思います。体に10度のメスを入れる。世界中のアスリートを見ても、これだけ手術を行ってもなお現役でプレーしているアスリートはほとんどいないと思います。奇跡に近いというより、奇跡だと感じます。その奇跡を起こすために、復活へのあらゆる情報を吸収し、勉強し、引き出しを増やしていました。焼肉を食べていても、どの部位を食べれば体に、筋肉に、腱に良いのか、それを教えてくれる館山がいました。

 そして、もう一つ。

 彼を語る上で絶対に外せないのが、相手への「敬意の心」です。向かい合う相手を尊重し、自分は一歩下がってでも相手を立てる。そんなシーンが出会ってから何度もありました。

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