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<解説>木星の衛星エウロパに間欠泉、ほぼ確実

5/16(水) 16:32配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

ガリレオ探査機が間欠泉の中を通過した強力な証拠を発見

 1995~2003年まで木星の観測を行っていたNASAのガリレオ探査機のデータから、氷に覆われた衛星エウロパが、宇宙空間に向けて水を噴出していることを示す強力な証拠が見つかり、5月14日付けの学術誌「Nature Astronomy」にその詳細が発表された。

ハッブル望遠鏡 50の傑作画像

 長年の間、太陽系内で地球外生命体が見つかりそうな場所の最有力候補と考えられてきたエウロパには、表面の氷の下に、地球よりもはるかに多くの水をたたえた海があることが知られている。間欠泉があるなら、宇宙船にその中を通過させるだけで、エウロパの海水から生命の兆候を探せる可能性がある。

 それだけでもけっして簡単なこととは言えないが、探査機をエウロパまで飛ばして安全に着地させ、厚さ1.6キロの硬い氷に穴を開けてからようやく海を探索させるよりは、話はよほど単純だ。

 一方で、エウロパの間欠泉が、厚い氷の中にある湖など、海以外の場所から噴き出している可能性も考えられる。それでも、2020年代に打ち上げが予定されている「エウロパ・クリッパー」など、この先の探査ミッションにおいて間欠泉の水を採取すれば、赤い筋が走るエウロパの「皮」の下に眠っているものの正体を垣間見ることはできるだろう。

「こうした間欠泉から魚が飛び出して、エウロパ・クリッパーに衝突するといったことは起こらないでしょう」と、NASAジェット推進研究所のシンシア・フィリップス氏は言う。「おそらく間欠泉は、もっと浅い水域から発生しているものと思われます。そうなると正確には、採取できるのは海からのサンプルではなく、表面近くにある水のサンプルということになります」

土星の衛星には存在

 惑星科学者たちは長年の間、エウロパが土星の衛星エンケラドスと同じように、宇宙に水を噴き上げている可能性について議論してきた。

 2013年末にハッブル宇宙望遠鏡が捉えた画像には、エウロパの南半球で、高さ200キロまで噴き上がる間欠泉のようなものが映っていた。当時はしかし、科学者らは懐疑的だった。この画像はハッブルの解像能力を限界まで使って撮影されたものであり、確認の観測をしても何も見つからなかったからだ。

 しかし2016年と2017年には、間欠泉の存在を示すハッブルの画像がさらに数多く公開された。エウロパの間欠泉は、エンケラドスほどの勢いはないものの、密度は同程度に濃く、容易に視認できた。

 2017年5月、SETI協会のメリッサ・マクグラス氏が、エウロパ・クリッパーの科学者チーム会議において発表を行い、20年ほど前にガリレオ探査機がとらえた興味深いデータを含め、エウロパから噴き出す間欠泉の存在を示唆する証拠すべてについておさらいした。

 米ミシガン大学のシャンジェ・ジャ氏のチームが保存されている過去のデータを見直すことに決めたのは、このときだった。

「わたしは、なぜもっと早くやらなかったのだろうと自問していました。データは20年近く前から、誰でも入手できたのですから」とジャ氏は言う。

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