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同性愛を「治そう」としたものの諦めた「レズビアン作家」の告白

5/16(水) 15:00配信

現代ビジネス

人間の本能というのをあまり信じていない

 繰り返し訊かれるけど、何と答えたらいいか未だに分からない質問がある。

 「どうして? 理由は? きっかけは何? 

 私が同性愛者であると知った人のうちの何割かが投げかけてくる言葉である。これがね~実に返答に困るんすよ。困った末に、半笑いで「エ」と「ウ」の中間のような呻き声を出してから

 「いや……なんか……いつの間にか……ッスね……」

 と返すのだけど、相手にはだいたい納得できね~という顔をされてしまう。

 私は1981年の冬に東京で生まれ、その後北関東の田舎で育ち、37歳の現在はまた東京に住みながら細々と小説を書いて飯を食っている。最近『完璧じゃない、あたしたち』という女同士の話ばかり23編を集めた短編集を刊行した。

 一人っ子、近視の乱視、高卒、水瓶座AB型、好きな寿司ネタはサーモンと生タコ。そういうプロフィールから私が同性愛者である理由を探り当てようとする人もいるけれど、職業以外はリアルで五万といそうな経歴だし、そこから原因を特定するのは難しいんじゃないかと思う。(でもたまに「わかったぞ! タコを食ってるからレズになったんだ!」レベルのムチャクチャを言ってくる人もいるので、そこでまた困り果てたりする)

 「理由なんかないですよね! 同性愛者の人も異性愛者と一緒。産まれたときから同性を好きになる本能を持ってるんです。それがその人の変えられない本質なんですよ」

 と、言ってくれる人もいる。くれる、と表記したのは、これを言うのはだいたい同性愛者を理解しようとつとめている人たちだからだ。悪気はまあないし、優しい。でも、これにも「そうなんすよ~!」とは、両手をあげては応えられない。

 まず、人間の本能というのをあまり信じていない。現代人に残っている本能なんてせいぜいコショウをぶっかけるとクシャミするとか飯を食ったらうんこするとかその程度だと思っている。

 ナイロンのパンツを穿いてスマホいじって夜中に寝ないでNetflix観てる人類のどこにどれほど本能と呼べるような野生が残っているのか? テキトーなweb記事なんかによくある(本稿もテキトーなweb記事ではありますが)、本能だから相手をルックスやスペックで選ぶのはしょうがない、本能だから時にはセクハラや性犯罪も犯してしまう、とかそういうのもほんとかあ? といつも疑問に思っている。

 そういう選択をしない人だって大勢いる。恋愛や性について語る時に使われる本能って、ほとんど雑な言い訳の役目しか果たしていない気がする。

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最終更新:5/16(水) 15:00
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