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脳に電気を流せば記憶力がアップする

5/17(木) 12:17配信

WIRED.jp

スクリーン上に、ある形が現れる。被験者が記憶するために与えられた時間はほんのわずかだ。それと同時に電気信号が頭蓋骨周辺をくねくねと進み、灰色の層を抜け、脳の中心近くに埋め込まれた電極に向かっていく。慎重に調整された振動数を刻みながら、信号は素早く動いていく。

実現は5年後?脳とコンピューターを直接接続する技術

スクリーンから画像が消える。1分後に同じ画像が、今度はほかの抽象的な画像に混ざって再び現れる。被験者の女性はちょっとためらったあとで、最初の画像を認識し、それを指差す。

これは素晴らしい結果だ。彼女が何を記憶していたかが素晴らしいのではない。どれだけよく記憶しているかが重要なのである。

彼女以外にも、7人の被験者がこの記憶ゲームを行なった。その結果、脳に刺激を加えると、加えなかった場合と比べて記憶力が平均37パーセント向上した。そして彼らは、それぞれに適合させた「神経補綴」による記憶活性化を経験した、地上初の人間となったのだ。

専門用語を知りたい人のために付け加えると、この脳活性化技術は「閉ループ海馬神経補綴(closed-loop hippocampal neural prosthesis)」と呼ばれるものだ。「閉ループ」と呼ばれるのは、それぞれの患者の脳と、脳が繋がれたコンピューターとの間を、信号がほぼリアルタイムで行き来するからだ。

「海馬」は記憶が形成されるうえで重要な役割を果たす脳の部位で、タツノオトシゴの形に似ている。信号は被験者の海馬の内部から送られ、この部分に戻ってくる。

「記憶がコード化され保存されようとするとき、この部位のニューロンからどのように電流が流れるかを観察しています」。ウェイク・フォレスト・バプティスト・メディカルセンターの神経科学者であり、この実験をまとめた論文の主著者であるロバート・ハンプソンはそう話す。この論文は2018年3月に刊行された『ジャーナル・オブ・ニューラル・エンジニアリング』に掲載された。

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最終更新:5/17(木) 12:17
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