ここから本文です

世界最強の4-4-2。ELを制したアトレティコ、高い技術の選手による完璧な統率が生み出す驚異

5/17(木) 12:20配信

フットボールチャンネル

 ヨーロッパリーグ(EL)決勝が現地時間16日に行われ、スペインのアトレティコ・マドリーがフランスのマルセイユを相手に3-0と快勝。6シーズンぶりの優勝を果たした。この一戦では、アトレティコの強さが際立ったが、その要因とは?(文:海老沢純一)

【2018年ロシアW杯】グループリーグ組み合わせ

●支配率43%も…多くの決定機を作り出したアトレティコ

 世界最強の4-4-2。年々多様化するサッカーの世界において、最もオーソドックスと言われるシステムをアトレティコ・マドリーは極めている。フランスの古豪、マルセイユと争ったヨーロッパリーグの決勝でもその力はいかんなく発揮されていた。

 GK:オブラク、DF:エルナンデス、ゴディン、ヒメネス、ヴルサリコ、MF:コケ、サウール、ガビ、コレア、FW:ジエゴ・コスタ、グリーズマン

 この11人で組まれたフラットな4-4-2は見事なまでに統率され、3つのラインは乱れることなく連動する。この3ラインからなる守備網は、ちょっとやそっとのことでは崩れない。マルセイユら対戦相手にとっては、どれだけ攻撃を繰り出してもギャップが生まれないため、打つ手なしという感覚となるだろう。

 実際にこの試合でも、ボール支配率はマルセイユ56.9%:アトレティコ43.1%、パス本数は同422本:324本、パス成功率は75%:65%、ドリブル突破数は17回:6回と多くの面でマルセイユが上回った。

 しかし、よりゴールに近いデータを見てみると、決定的なパスの本数はマルセイユが6本:アトレティコが10本、枠内シュートの本数は同2本:4本とアトレティコが上回っている。

 相手にボールを持たせた上でチャンスは作らせず、ボールを奪ったら速攻を仕掛けて相手ゴールを脅かす。バスケットボールにおいても、ボクシングなどの格闘技においても、カウンターは凄まじい威力を持っている。

 21分にマルセイユのGKマンダンダからのパスを受けたMFザンボ・アンギッサがトラップミスを犯し、ガビからのアシストでグリーズマンが先制ゴールを決めたシーンで、この試合はアトレティコのものとなることは決まったのかもしれない。

●攻守で圧倒した中盤のキーマン

 この試合では、選手個々も攻守に抜群のパフォーマンスを披露した。

 21分に続いて49分の2ゴールで試合を決めたグリーズマンをはじめ、中盤のガビとコケがその力を発揮していた。中盤のセンターに入ったガビは、先制点のアシストに加えて89分には自らもゴールを決めて勝利に大きく貢献した。

 そして、左アウトサイドのコケは影のMVPと言える働きを見せた。この試合では、守備面では両チーム最多となる7回のボール奪取を記録し、攻撃面でも両チーム最多となる5回の決定機を生み出し、2点目と3点目でアシストを記録した。

 アトレティコは、2011年からチームを指揮するディエゴ・シメオネ監督のもとで選手、チームともに質を高めてきた。一般的に、“カウンターサッカー”は弱者の兵法とされ、技術はなくとも運動量や忍耐力で勝負すると考えられている。

 一方で、このアトレティコの“攻撃的カウンター”は選手たちの高い技術によって成り立っている。仮にこの試合の11人でボールを支配することを狙えば、多くのチームを上回れるだろう。

 しかし、それだけでは「並のポゼッションサッカー」に留まってしまうかもしれない。この技術の高い11人が労を惜しまず守備の意識を高め、“チーム”として完璧な統率の下でプレーするからこそ、驚異的な強さを維持して重要なタイトルという成果を手にできているのだ。

(文:海老沢純一)

フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)

Yahoo!ニュースからのお知らせ(10月17日)