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長谷部誠が手にした「ドイツ二冠目」の価値 アンカーとして示したW杯への確信

5/21(月) 15:00配信

Football ZONE web

【欧州蹴球探訪|第6回】“最悪な一日”の1カ月後に汚名返上、バイエルンを破りDFBポカール制覇

 2018年4月21日は、長谷部誠にとって最悪な一日だった。

 フランクフルトの本拠地コメルツバンク・アレーナで行われたブンデスリーガ第31節のヘルタ・ベルリン戦。3バックのリベロで先発した長谷部は相手FWデイビィ・ゼルケに翻弄され、後半12分にペナルティーエリア内で足を引っ掛けてPKを献上してしまう。ゼルケのダイブにも見えた微妙な判定に長谷部は納得がいかず、自ら主審の下へ歩み寄って抗議し、ひとまずVARに持ち込むもジャッジは覆らなかった。

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 集中力を保てなくなった長谷部は同32分に相手MFマシュー・レッキーにバックライン裏へ抜け出されて2失点目を喫し、一層焦燥の度合いを深めていく。そして直後の同34分、持ち場から離れて右サイドからボールを持ち出して前に進もうとしたところで、ゼルケにユニフォームを引っ張られて激昂し、おもわず右肘で相手を殴打してしまう。退場を告げられた長谷部は、その後の裁定で4試合の出場停止処分を科せられ、リーグ戦に関しては3試合を残してシーズンの終了を迎えた。

 2008年の冬にJリーグの浦和レッズからドイツへ渡ってからは思慮深く落ち着いた所作を保っていたが、浦和でプロデビューした頃の長谷部はむしろ血気盛んで、審判へ異議を唱えるだけでなく、チームメイトにも厳しい言葉を浴びせることがたびたびあった。彼の本質は熱情をたぎらせる闘士だ。ファウルを許容してはならないが、それでもヘルタ戦で見せた“素の姿”には、断固として譲れない勝負への意地が透けて見えた。

 そんな長谷部にはまだ、汚名を返上する機会があった。リーグ戦は来季2018-19シーズン開幕戦の1試合までが出場停止の対象になるが、チームが総力を結集して上りつめたDFBポカール(ドイツ・カップ戦)決勝の舞台に立つ権利は得られたのだ。

アンカー起用に応えてバイエルンのパスを寸断

 決勝の相手はフランクフルトを率いるニコ・コバチ監督が、来季から指揮を執るバイエルン・ミュンヘン。バイエルンはUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝でレアル・マドリードに敗れてヨーロッパタイトルを逸しており、リーグに続いてポカールも制して国内二冠を達成し、今季限りで勇退するユップ・ハインケス監督に盛大な花道を作って送り出すモチベーションがあった。

 一方のフランクフルトは、長谷部が退場したヘルタ戦からリーグ最終節まで1勝3敗。一時はCL出場圏内の4位も視野に入れていたが、コバチ監督がバイエルンの指揮官に就任するニュースが流れた時期を境に急失速し、UEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権をも逃す8位でフィニッシュしていた。ただ、ポカールを制すればEL出場権が得られるとあって、チームの中心選手であるケビン=プリンス・ボアテングは「僕たちのターゲットはポカールのタイトルだけ」と公言してもいた。

 迎えたベルリン・オリンピアシュタディオンでのポカール決勝。長谷部は約3週間も実戦から離れていたにもかかわらず先発に復帰し、このチームにとって欠かせない戦力であることを示した。

 ポジションはリベロではなく、最終ライン前に位置するアンカー。彼の役割はバイエルンの組織を分断しつつ、自チームをつなぎとめること。「アンカー」とは、元々船舶を水上の一定箇所に留めておくために鎖などで海底、川底などに沈める道具である「錨(いかり)」のことを指す。長谷部は文字通りその働きを全うし、ハメス・ロドリゲス、チアゴ・アルカンタラ、ハビ・マルティネスらの前に立ち、ロベルト・レバンドフスキ、トーマス・ミュラー、フランク・リベリーへのパス供給を許さなかった。

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最終更新:5/21(月) 16:58
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