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米朝会談中止は中韓が北に幻想を抱かせたのも一因、元駐韓大使が解説

5/26(土) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● 会談中止に関する書簡は 北朝鮮に対する強いメッセージ

 米国のトランプ大統領は5月24日、6月12日に予定されていた米朝首脳会談の中止を告げる金正恩朝鮮労働党委員長宛ての書簡を公表した。その中でトランプ大統領は、北朝鮮が示した最近の「怒りとあからさまな敵意」を理由に、首脳会談を「この時期に開催するのは適切ではない」としている。

 米国のホワイトハウス当局者は、トランプ大統領の書簡発出の直接的な契機になったのは、5月24日に公表された北朝鮮の崔善姫外務次官の談話だったと述べている。ペンス副大統領が米国のテレビ番組で、北朝鮮に対する軍事的対応を排除しない姿勢を示し、「リビアのように終わる」と発言したことを非難する談話だ。

 ペンス副大統領はそれまでにも、「北朝鮮は守るつもりのない約束をめぐって米国から譲歩を引き出そうとすべきではない」「トランプ大統領を手玉にとれると思ったら大間違いだ」と語っており、会談を取りやめる可能性はあるのかとの質問に「疑いを挟む余地はない」と答えていた。

 これに対して崔次官は談話の中で、「政治的に愚鈍な間抜けであることは察するに余りある」などとの認識を示した上で、「われわれはリビアの轍を踏まないために高い代価を払った」と述べ、最高指導者が殺害されたリビアと、「核保有国」となった北朝鮮との違いを強調、「米国がわれわれと協議の席につくことを望まないのならば、対話を懇願することも、説得を試みることもしない」とした。

 トランプ大統領は、5月22日に開かれた韓国の文在寅大統領との首脳会談の席上、米朝首脳会談が延期される可能性に言及、週末に予定されていたヘイギン大統領次席補佐官と北朝鮮側との実務会談の結果を見る構えだった。だが、崔次官が北朝鮮は「核保有国」であるとする発言などを受け、態度を硬化させたのだろう。

 ただ、トランプ大統領は同じ書簡の中で、金正恩委員長に対し、「いつかあなたと対面できることを期待している」「もし首脳会談について考えが変われば、いつでも連絡してほしい」とも語るなど、「米国としては対話の窓口を完全に閉ざすつもりはない」との意思も示している。

 北朝鮮にしても、「核ミサイルを保有しても、体制を存続させられないかもしれない」という厳しい現実を理解しており、もしここで対話をやめてしまえば、米国による軍事攻撃の危険性が高まり、経済的にもますます窮地に陥ってしまうことについて分かっているはずだ。

 それが強硬姿勢に転じたのは、対話の窓口となってきた韓国や中国から、「体制保証を得つつ、段階的な非核化で乗り切れる」との感触を得てきたものが、崩れてしまったからだ。より強い態度を示すことで、一層の譲歩を引き出そうとする瀬戸際作戦だったのだろう。

 しかしトランプ大統領は、北朝鮮とのこれまでの交渉の失敗を繰り返さないと述べている。今回の米国の米朝首脳会談中止の書簡は、北朝鮮に態度の再考を促す強いメッセージととっていいのではないか。そういう意味で今回の書簡は、首脳会談の「決裂」というよりは、「延期」と取ることもできる。

 とはいえ、これは単なる条件交渉ではない。北朝鮮が真摯に向き合わなければ、今度こそ軍事攻撃の危険が高まってくるかもしれない。

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