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香川真司、W杯メンバーから落選か。日本代表、3バック導入で見えてきたチーム内の序列

5/28(月) 11:38配信

フットボールチャンネル

 日本代表は本格的な戦術練習を始め、それにともなってチーム内の序列も見えてきた。31日に発表される予定のロシアワールドカップに臨む23人から漏れるのは誰なのか。最後の最後で落選となるかもしれない3人の行方を占う。(取材・文:元川悦子)

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●大迫と宇佐美への信頼。一方で香川は…

 30日のガーナ戦(日産)に向け、21日から千葉県内で合宿中の西野朗監督率いる日本代表。26日から本格的な戦術練習に突入し、新指揮官が導入を明言していた3バックシステムの構築が始まった。

 26日はピッチ6分の1、ハーフコートのゲーム形式だったが、27日はさらにピッチサイズが拡大。最後には守備陣だけを集めて3バックをどうスライドさせるのか、敵が来る場所によって誰がマークに出るかといった細かい確認も行われた。

「5バックにはならずに、サイドのウィングバックの選手をできるだけ押し出して、センターバックの選手たちがサイドにスライドしてというような、基本的に3バックというよりは4バックになる形だと思う。それだけじゃなくて中盤で浮いている選手がいたら、後ろの3枚の誰かがついて、潰しにいくことも必要だと思う。僕自身、3バックはかなり攻撃的なイメージを持っています」とキャプテンでありリベロに入る長谷部誠(フランクフルト)も守備一辺倒のシステムではないと強調。

 いかにして高い位置をキープして、攻撃に厚みを持たせるかが、今後の日本に課せられた重要テーマになってきそうだ。

 こうした中、攻撃陣の組み合わせも頻繁に入れ替わっている。26日の1本目は右から本田圭佑(パチューカ)・大迫勇也(ブレーメン)、宇佐美貴史(デュッセルドルフ)、2本目が香川真司(ドルトムント)・大迫・宇佐美、3本目が本田・大迫・宇佐美という組み合わせで、27日は1本目が原口元気(デュッセルドルフ)・大迫・宇佐美、2本目が本田・岡崎慎司(レスター)・香川という「ビッグ3」の共演だった。

 1トップは大迫が鉄板で、左足首負傷の回復途上にある岡崎は時間限定でのプレーになってはいるものの、大迫に次ぐ位置づけにいるようだ。シャドーに関しては大半のゲームで主力組に入った宇佐美が現時点でのファーストチョイス。

 そこに続くのが、本田と右ウイングバック併用の原口と見られる。つまり香川の序列は4人の中で最も低い。右太もも前の打撲で別メニュー調整を強いられている乾貴士(エイバル)もシャドー要員に含まれている可能性もあるため、このままでは香川が最終メンバー23人から落選するというまさかの事態も起こり得る状況なのだ。

●キレのない香川。このままでは落選も

 実際、この1週間のトレーニングを見ても、2月から5月まで3ヶ月も公式戦から離れた影響か、切れ味鋭い崩しやゴールに迫る勢いがあまり見られず、シュート練習でも枠を外すシーンが目立った。27日のゲーム形式の後には西野監督が香川を呼んで何やら指示を出していた。どうやら指揮官は香川のパフォーマンスに納得していない模様だ。

 ゲーム形式ではサブ組が4-2-3-1や、アンカーを置いた4-3-3、中盤をボックス型にした4-4-2なども試していたが、香川が入ったのは左インサイドハーフか左MF。トップ下に陣取ったのは本田で、西野監督も彼をどう使うべきか答えを見つけられていない様子が色濃くうかがえた。

「MFの選手でも、前線で2トップ、3トップ、1トップとポジションも変わってくる。バランス的にいろいろありますが、対応力が間違いなく求められる。ポリバレント(ユーティリティ)な能力を持った選手がこのリストの中にもいる」と指揮官は18日のメンバー発表会見でも万能型プレーヤーの必要性を強調していたが、香川は他のアタッカー陣に比べるとポリバレント性が低い。

 宇佐美であれば左右のシャドーに加えて、2列目の全ポジションや2トップの一角にも入れるし、原口はそれに加えてボランチや右ウィングバック、右サイドバックでもプレー可能だ。本田は8年前の南アフリカワールドカップを振り返っても分かるように、1トップでも大きな仕事ができることを実証しているし、乾にしても左ウィングバックをこなせる。スピーディーなドリブル突破という絶対的な武器を持つ彼はジョーカーにもなりうる貴重な存在だ。

 前任者のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は中島翔哉(ポルティモネンセ)にその役目を託そうとしたが、西野監督にとっての切り札は乾なのだろう。ケガも順調に回復し、27日には対人メニュー以外の全体練習をこなせるところまで来ているため、負傷による落選はやはり考えられない。

 31日の最終メンバーに生き残るのは23人。すでに青山敏弘(広島)が右ひざ負傷で離脱しているため、絞られるのは3人だ。その最右翼がゲーム形式の練習から外れる回数の多い三竿健斗(鹿島)。彼が非常に厳しい立場にいるのは周知の事実だ。

●青山の離脱で状況に変化。香川選外の可能性は?

 それ以外の2枠がボランチなのか、2列目のアタッカーたちなのか、それともFW陣なのかはまだ定かではない。仮にボランチであれば、この2日間で一度も主力組に入っていない井手口陽介(クルトゥラス・レオネサ)がボーダーラインにいると目される。FW陣では武藤嘉紀(マインツ)と浅野拓磨(シュトゥットガルト)がその位置づけに該当する。

 しかしながら、井手口は昨年8月のワールドカップアジア最終予選の大一番・オーストラリア戦(埼玉)で値千金のダメ押し弾を叩き出していて、ここ一番の爆発力がある。長谷部が最終ラインに下がったことからデュエルに強いボランチが山口蛍(C大阪)1人というのも、ワールドカップ本番を視野に入れるとやや不安が大きい。井手口を残した方がいいという判断もあるだろう。

 武藤はこの1週間のトレーニングでベストコンディションであることを示しているし、浅野にしても井手口同様にオーストラリア戦での先制弾という実績がある。加えて言うと抜群のスピードで相手の背後を取れるという傑出した武器を備えている。そのようなタイプの選手も本大会の駒として必要かもしれない。

 上記の3人から2人を削れない場合、次の候補としては2列目のアタッカーの誰かということになる。そこで一番危険なのが香川だ。4年前のブラジルワールドカップで絶不調に陥り、グループリーグ2戦目のギリシャ戦(ナタル)でまさかの先発落ちを経験した29歳の男にとって、ロシアワールドカップは絶対にリベンジを果たさなければならない因縁の大舞台だ。

「ロシアをキャリアの集大成にしたい」とこの4年間、口癖のように言い続けており、2度目のワールドカップへの尋常ならざる思いがあるはずだ。エースナンバーである「10番」を背負い始めてから足掛け8年が経過したが、この番号に相応しい活躍も十分にできていない。そんなネガティブな要素を全て払拭するためにも、ロシアワールドカップへの挑戦権だけは逃すわけにいかないはずだ。

 とはいえ、今のままでは厳しいのは確か。コンディションとパフォーマンスの両方を劇的に上げられるという確証がない限り、西野監督の信頼を取り戻すことはできない。残されたアピールの時間は3日間しかないが、かつての輝きの一端を示すことができれば、最悪の事態だけは回避できる。果たして香川真司は最終メンバーリストに名を連ねることができるのか。ガーナ戦までの動向を注視したい。

(取材・文:元川悦子)

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