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「ただの運動」が脳をとんでもなく変える理由

6/1(金) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

 シリコンバレーでIT企業家として長年活躍してきた著者が、ITの専門家としての技能を生かして、自らの体を「バイオハック」し、さらには23年の歴史を持つパロアルトのNPO、シリコンバレー保健研究所の所長(後には会長)として、さまざまな医学分野のエキスパートからの知識も総合し、現在の科学の最先端の脳の機能UP法を1冊にまとめた。タイトルは『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』。本稿では、同書から特別にそのハイライトを紹介したい。

● 運動は脳に「奇跡の肥料」をもたらす

 運動で体にストレスをかけることは細胞を強くするためにできる最善の策の一つだ。

 運動で体中の細胞にあるミトコンドリアの健康が促進されることは昔から知られているが、運動とマイトファジー(弱いミトコンドリアを死なせること)、神経発生(新しいニューロンを成長させること)、ミトコンドリア発生(新しいミトコンドリアを成長させること)の興味深い結びつきについては、これからの研究がさらに明らかにしていくだろう(注:ミトコンドリアが脳や体を強化する理由については本書を参照)。

 運動は、PGC-1アルファ(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマ共同因子-1アルファ)と呼ばれる重要なタンパク質を刺激して放出させる。これは代謝とミトコンドリア発生の調整に役立つ。寒冷への曝露も、PGC-1アルファを生成させる助けになる。これが、寒冷熱発生が新しいミトコンドリアを生み出すしくみである(寒冷熱発生について詳細は「バイオハッカーが「水風呂」に入りたがる科学的理由」を参照)(*1)。

 しかし睡眠と同様、運動の質は量より重要だ。ただ単にランニングマシンを数分余計にやるだけでは効き目がない。このタンパク質を放出させるには高強度インターバルトレーニング(HIIT)が必要だ(*2)。HIITの利点についてはもう少しあとで述べる。

 運動するとき、筋肉はまたFNDC5(フィブロネクチン3型ドメイン含有蛋白質5)というタンパク質も放出する。このタンパク質の一部は血流に入って、海馬の脳由来神経栄養因子(BDNF)濃度を高める。ここで神経発生が起こる。

 BDNFは新しいニューロンの成長と分化をサポートするタンパク質で、神経発生にとって最も重要な物質だ。2008年、ハーバード大学教授のジョン・J・レイティ博士は、BDNFを「脳にとって奇跡の肥料」と呼んでいる。

 研究者らが実験室でニューロンにBDNFを与えると、ニューロンは自然に、学習を助ける樹状突起を新しく生やす(*3)。これが僕の主要なバイオハックの対象であるのは、そうしてBDNFが神経発生、神経保護、神経再生、細胞生存、シナプス可塑性、新しい記憶の形成と保持を起こさせているからだ(*4)。

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