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欧米とは真逆な日本の「ロボット観」が生産性革命で見直される理由

6/1(金) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● 働き方改革の「生産性向上」で 注目浴びるロボット産業のいま

 働き方改革法が衆院で可決した。安倍政権は働き方改革の柱として、生産性向上を重要な政策として位置づけている。AIやロボットへの設備投資により、これまで人的作業だったものを自動化することで、労働時間の削減や高齢化による人材不足を解決するのが狙いだ。

 自動化における鍵となるのが、製造業における産業ロボットの導入だ。世界的な人手不足を背景に産業用ロボットの需要は拡大の一途をたどっており、富士経済は協働型ロボットの世界市場が2025年には2016年の8.7倍、2700億円になると予測している。

 スイスの重工大手ABBと有力紙『エコノミスト』が今年4月に発表した「Automation Readiness Index」(自動化準備指数:筆者訳)によると、AIやロボット導入による自動化で最も準備が整っている国は、1位が韓国で2位がドイツ、3位がシンガポール、日本は4位に留まっている。

 今後、ますます増えるであろうロボットとの協働・自動化の波で、日本は対応を強いられることになる。

 産業用ロボットは、すでに様々な生産現場に溢れている。かつては人手によって溶接加工されていた自動車の生産などは、ほとんどのメーカーの工場で溶接ロボットに置き換わっている。

 では、エンタテインメントロボットはどうか。AIBOは最近出荷台数が1万台を超えたそうだ。ソフトバンクのPepperは、小売店の店頭やショールームなどでよく見かけるようになった。ロボットが接客するホテルも話題になった。

 だが、こうしたエンタテインメントロボットはまだまだ身近になったとは言えない。特にグローバルな視点で見ると、こうしたエンタテインメントロボットがもてはやされるのはほとんど日本だけのようである。

● 「AIBO」や「Pepper」が海外で 評価されないのは「ドラえもん型」だから?

 産業用ロボットでは日本の安川電機が市場シェア1位、次いでスイスのABB社が2位と日欧のメーカーがトップを走っているが、ソニーのAIBOやホンダのASIMO、ソフトバンクのPepperのようなエンタテインメントロボットは、先に述べたように日本市場が中心であり、供給企業もほとんどが日本企業だ。なぜ、エンタテイメントロボットブームは日本以外では起こらないのだろうか。

 どうやらロボットを愛らしいもの、可愛がる対象として見るということ自体が、欧米の人にとってはやや異質のようである。

 ハーバードビジネススクールのビジネスケース教材に過去のソニーのAIBOの事例があるのだが、そこでAIBOは失敗事例として描かれ、なぜロボットを愛玩動物に見立てるのかと疑問を呈している。いまだに古いAIBOの修理ビジネスが成り立っていたり、壊れたAIBOのお葬式まで出してしまったりする日本の状況とは、大きく異なる。

 この違いは、日本と欧米とのロボットに対する感覚の違いによるものかもしれない。日本では古くから『鉄腕アトム』や『ドラえもん』に代表されるように、ロボットは独立した個性であり、ある種人間と対等な存在として、人間の相棒や友達になっている。

 一方欧米では、『ロボコップ』や『アイ,ロボット』などの映画で描かれているように、ロボットは人間に服従させるべき対象であり、時に人間に反抗する危険性をはらみ、人間とは対等ではない、というロボット観が一般的である。そもそもロボットに、相棒や友達としての役割を求めていないのだ。

 SF作家のアイザック・アシモフが映画『アイ,ロボット』の原作でもある小説の中で示したロボット三原則も、人間の安全確保と人間の命令への服従が規定されている。ドラえもんやアトムの世界観とは相容れない、日本的でないロボットの在り方である。

 むしろ産業用ロボットでは、アシモフ的なロボットと人間の関係を具現化していると言えよう。生産の現場において、産業用ロボットは人間の安全性が何よりも優先され、人間の命令に絶対服従をしていて予想外の反応をすることはない。同じロボットという名前がついていても、エンタテインメントロボットとは大きく異なるポイントだ。

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