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ももいろクローバーZはアイドル界の“王道”になったーー10年のキャリア凝縮したベスト盤から考察

6/3(日) 13:01配信

リアルサウンド

参考:2018年6月4日付週間アルバムランキング(2018年5月21日~2018年5月27日・ORICON NEWS)

 2位のNCT127『Chain』、8位のCHANSUNG(From 2PM)『Complex』、10位のGFRIEND『今日から私たちは ~GFRIEND 1st BEST~』、と韓国のアーティストの初登場が目立つ今週のチャート。直近ではBTS『Love Yourself 轉 'Tear'』のビルボードアルバムチャートでの1位獲得が大きなニュースとなり、また5月25日のMステではTWICEが日本語ではなく韓国語で「What is Love?」を披露して話題を呼んだ。KARAや少女時代が注目され始めた時代の韓国のアーティストは“大きくて進んだマーケットのある日本にローカライズして参入する”という趣が強かった印象があるが、最近では彼ら・彼女らの方が“グローバル基準で評価される先進的なアーティスト”になりつつあるように思える。現状のシーンの流れが続く限り、この傾向はさらに強まっていきそうである。

 さて、今回取り上げるのは初登場1位を獲得したももいろクローバーZ(以下ももクロ)の『MOMOIRO CLOVER Z BEST ALBUM「桃も十、番茶も出花」』。歴代シングルやアルバム表題曲を収録した10周年記念の2枚組ベストアルバムである。

 “今会えるアイドル”という明らかにAKB48を意識したキャッチコピーで登場し、プロレスなどをモチーフにした演出やノンストップでの激しいパフォーマンス、目まぐるしく展開の変わる楽曲など魅力的なギミックを効かせることでさまざま層の支持を獲得してきたももクロ。ももいろクローバー時代のインディーズデビュー曲「ももいろパンチ」から新曲「クローバーとダイヤモンド」までが収められたボリューム満点の今作では、彼女たちの音楽面での変遷を存分に楽しむことができる。名前を織り込んだ歌詞と唐突な転調、曲中でのエビゾリジャンプでグループの知名度を押し上げた「行くぜっ!怪盗少女」、“サブカル”的な人気に乗っかる形で大槻ケンヂややくしまるえつこを起用した「労働讃歌」「Z女戦争」、ファンクテイストに寄せた「マホロバケーション」「ザ・ゴールデン・ヒストリー」など、様々なアプローチに取り組みながら活動を続けてきたことがよくわかる(2010年代のアイドルシーンのクラシックとなっている「走れ!」が収録されていないのが残念だが)。

 そのパフォーマンスの特異性やロックバンドとの対バンに臨む姿勢などから、いつしかももクロには“アイドルらしくない”というキャッチコピーがついて回るようになった。ただ、今改めて考えると、“工夫を凝らしつつ全力でファンを楽しませる”という“アイドルらしい”としか言いようがないスタンスをひたすら貫いてきたことこそが、ももクロの求心力を形作っているのではないか。4人編成となったこれからも、この構造は変わらないだろう。

 AKB48に対する“邪道”的なポジションとして活動を始めたももクロは、10年のキャリアを積んだ今ではアイドル界の“王道”のひとつとなった。旧来的な価値観では“アイドルらしくない”と評されていたアイドルが真ん中にいるという事実に、2010年代のアイドルシーンの面白さが凝縮されていると思う。

レジー

最終更新:6/3(日) 13:01
リアルサウンド