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48歳「市の臨時職員」、超ブラック労働の深刻

6/5(火) 15:00配信

東洋経済オンライン

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは、「市の臨時職員として働いているが、市長が変わっても正規職員に登用される見込みもなく不安になっている」と編集部にメールをくれた48歳の男性だ。

 「すみません。年度末は時間が取れそうにありません」

 「今週、来週ですが、(4月に)異動してきた正職員の指導や、引き継ぎなどがあり日程的に厳しいです」

 首都圏のある地方自治体に勤める臨時職員のヨシツグさん(48歳、仮名)に、最初にメールで取材のお願いをしたのは2月下旬のことだった。仕事が立て込んでいるなどの理由で、何度か日程のキャンセルと再調整を繰り返した。ようやく会えたのは5月の連休明け。年度の変わり目とはいえ、非正規公務員もここまで忙しいものなのか。

 「忙しいです。昼休みが10分くらいしか取れないことも珍しくありません。弁当をかきこんで終わりです。昼ご飯を食べる時間もないような民間のひどい会社に比べたら、まだマシと言われてしまうかもしれませんが……」

■典型的な「官製ワーキングプア」

 税務部門で、土地や家屋に関する税額を算定する仕事に携わっているヨシツグさんはさらにこう続ける。

 「2月、3月は申告関係の書類が集中して提出され、案件によっては記載内容が正しいかどうかを電話などで確認しなければなりません。4月は記載に誤りがあったり、駆け込み申告されたりしたケースについて、納税通知書の差し替え作業に追われます。年度によっては(正規の)新人職員が配属され、教育係を任されます。残業時間はそう多くはないのですが、日中はつねに時間に追われている感じです」

 勤続10年以上。フルタイムで働きながら、年収は190万円に届かない。典型的な「官製ワーキングプア」である。

 ただでさえ忙殺される年度末、ヨシツグさんには、さらに非正規公務員ならではの大きなストレスがある。この時期、契約更新のための面接を受けなければならないのだ。「4月以降も自分はここで働けるだろうか――。毎年、不安で仕方ありません。3月中旬に面接が行われた年もあり、このときは本当に胃が痛くなりました」と振り返る。

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