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猪瀬直樹 加熱式たばこで何が悪い

6/6(水) 12:20配信

PHP Online 衆知(Voice)

煙ではなく蒸気

聞き手:編集部

――受動喫煙対策が議論になっています。厚生労働省は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに屋内全面禁煙化を実施しようとしています。愛煙家として、現状をどのようにご覧になっているでしょうか。  

猪瀬 僕は学生のころからたばこを吸っていて、70年代ごろから喫煙をめぐる議論はあったけれど、あくまで吸う本人の健康に関することでした。現在のように、周囲の第三者に対する副流煙が問題にされることはなかった。たばこの煙やにおいを気にする人がいるのは事実だから、2年ぐらい前から加熱式たばこに替えました。以来、彼女にも好評です。たばこといっても燃えていないので、タール(ヤニ)がないから僕自身、喉の調子がよくなって痰も出なくなった。いいことずくめですね。

加熱式たばこは主に「プルーム・テック」と「アイコス」を併用しています。たとえばプルーム・テックは煙の代わりに蒸気を発生させる仕組みで、タバコの葉を細かく刻んだカプセルを通してニコチンが入った蒸気を吸うわけです。見た目もペンのように細長く、手に持ちやすい。アクセサリーの留め金を着けると内ポケットに差しておくこともできるし、机の上からも転がらない。人の少ないところで吸っていればまったく気付かれません。それだけにおいが広がらない、ということ。

アイコスのほうは、味はよりたばこらしいというか、しっかりしている。吸う状況や体調によって両者を使い分けています。もう1つ、かつて禁煙パイポと呼ばれたものが進化して禁煙用の電子たばこ(FLEVO)のようになっているから、背広のポケットがいっぱいになって大変(笑)。

たばこはコミュニケーションの「間」をつくる

――ご執筆中も、加熱式たばこを吸われているのですか。

猪瀬 やはり先ほどの2つ、プルーム・テックとアイコスを併用しています。僕のような物書きにとって、たばこは執筆のリズムや「間」をつくるために必要なもの。

「たばこは文化である」というのは嘘でも強弁でもなく、たとえば映画を見ても感じます。欧米の映画作品では、場面転換や閑話休題のシーンでよくたばこが出てきます。文字どおり一服して、物語の「間」をつくるために喫煙の場面を入れている。人間の自然なコミュニケーションには「間」が不可欠だということです。ところが日本の映画やテレビは最近、喫煙シーンを極力映さないように規制している。いかに文化について無知か、よくわかります。  

取材や打ち合わせで人と会うにしても、やはり「間」が大切。いくら電子メールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が発達しても、対面のコミュニケーションは必要です。でもその際、フェイス・トゥ・フェイスで相手と視線を合わせたまま話し続けるのは不自然だから、どこかで間を置く必要がある。その際、コミュニケーションの間をつくるのがたばこです。  

僕が子供のころ聞いて上手だな、と思ったのは「たばこは動くアクセサリー」という表現。たしかに動作のあいだも手に取って一服すれば自然に振る舞えるし、喫煙者同士であればコミュニケーションが円滑になる。相手がたばこを吸わない人であっても、加熱式たばこを吸うのであれば迷惑が少ない。いったい何が悪いというのでしょうか。

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