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“名将感なき名将”ジダンの華麗なる引き際 レアルを熟知した男の天才的な決断力

6/6(水) 21:05配信

Football ZONE web

前人未到のCL3連覇を置き土産に、突如レアル監督からの辞任を発表

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)3連覇を成し遂げたレアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督が、突然辞任を発表した。

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 2016年1月の就任以来、2シーズン半にわたってレアルを率いて国内リーグ優勝1回、CLは在任中すべて優勝。前身の欧州チャンピオンズカップ時代を含めても3連覇した監督はジダンだけだ。紛れもない名将なのだが、それほど名将感がないのはジダンらしいところかもしれない。

 欧州チャンピオンズカップ創設から5連覇した時のレアルでも、アルフレッド・ディ・ステファノやフェレンツ・プスカシュといったスター選手は有名でも、監督の名前を知っている人は少ないだろう。在任中に二度のCL優勝をもたらしたビセンテ・デル・ボスケ監督も存在感が薄かった。豪華な陣容とは対照的に監督はあまり目立たず、ほとんど何もしていないように見える。その方が、レアルの監督としては上手くいくことが多い。

 スター選手たちを気持ち良くプレーさせれば、大概の試合には勝ててしまう。だから、監督の色は出すぎない方がいい。ジダン監督も基本的にはそういうタイプだった。自分の思うとおりに仕切ろうとすると、このクラブではあまり上手くいかない。戦術的な縛りが強すぎて中心選手から反発されたら、クビが飛ぶのは監督の方である。

 ジダンの前任者だったラファエル・ベニテス監督は実際にそうなっている。ベニテスは経験豊富で実績のある監督だが、レアルには向いていなかった。その点、ジダンはレアル向きだったと言える。

勝負どころの試合で打った戦術的な策

 ただし、ジダンが本当に何もしない監督だったわけではない。むしろ、勝負どころの試合では必ずと言っていいほど策を打っていた。

 アトレチコ・マドリードとの二度のCLでの決戦(15-16シーズン決勝、16-17シーズン準決勝)では、臆面もなくアトレチコにボールを持たせた。矛のレアル、盾のアトレチコの対決のはずが、強制的に“矛盾の交換”に持ち込んで勝っている。

 今季もバイエルン・ミュンヘンとの準決勝では、相手の武器であるサイド攻撃を封じ込め、決勝のリバプール戦では序盤に速攻を食らわないように引いてスペースを消す守り方をした。どれも相手の武器を封じるための当然の策ではあるが、相手に合わせるサッカーをレアルでやること自体が簡単ではない。ジダン監督にそれが可能だったのは、普段はそうしていないからだ。ここ一番だけなので、選手に戦術を強要できる。このあたりの手綱の緩急、全体の流れの作り方ができないと、レアルでは上手くやれない。

 現役時代にレアルのスーパースターだったジダンは、このクラブの性格をよく知っている。勝負どころで作戦が必要だが、常に戦術的なプレーもできない。そこはプレースタイルが前面に出ているバルセロナと違うところであり、ジダンはレアルでの勝ち方を心得ていたのだろう。

 辞任は突然だった。ただ、解任の噂はつきまとっていた。これはジダンに限らず、レアルの歴代監督は全員そうなのだ。タイトルを獲れなければ、どんな名監督でも続けられない。

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最終更新:6/6(水) 21:05
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