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槙野智章が持つ日本一の“声”。大音量でも、否定の言葉は使わない。

6/6(水) 11:31配信

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 浦和レッズのDF槙野智章が、W杯に挑む日本代表メンバーに初めて選ばれた。彼はある意味、「日本一の声」を持つ男と言っていいかもしれない。

 槙野は賛否両論を承知したうえで、オフにはメディアに登場し、SNSでも積極的に発言してきた。1人でも多くの人にサッカーへの関心を持ってもらおうと。ただ、メディアに乗せられ、たまにスベることもある。

ピッチ内の話になるととにかくストイック。

 そういった一面が目立つために、お調子者と受け止められてきた。

 ただ、「本業」のサッカーに対しては、とにかくストイックだ。ピッチ内の話になれば、真摯で真面目。欧州のサッカーにも精通し、オタクでもある。

 重視するのはいかにピッチで結果を残すか。そのために、シーズン中はサッカー一色に染まった日々を送っている。

 「サッカーは年齢ではない。まだまだ上手くなりたいと思っている」

 このように、彼の向上心は強まるばかりだ。

 近年は男子200メートルハードルの元アジア記録保持者で、プロスプリントコーチの秋本真吾氏の指導を受けて、効率よく90分間走り切るためのランニングフォーム改造に取り組んできた。

 効率よく90分間走り切る姿勢を身につけ、初動の加速度アップを追求し、数歩でこれまでにない高いジャンプに持ち込むという新境地を開拓。1対1、空中戦の勝率が上がった。

 また、昨年6月からは低酸素である高地トレーニングの環境を作り出す施設「ハイアルチ」に通い、心肺機能や持久力を向上させた。

 それにより「リカバリーを行うことでケガの予防にもつながる。継続して行うことで、疲労が蓄積されてきたとき、数センチ前に出る、1センチ高く飛ぶ。そういったところで差が出る」と、効果を実感してきた。

誰よりも声が大きいが、聞いていて心地良い。

 そのような改善や進化を遂げ、今回、W杯メンバーの23人に選ばれた。一方、彼がサッカー選手として常に変わらずに「武器」にしてきたことがある。それが“声”だ。

 浦和レッズが以前実施していた鹿児島指宿キャンプで、ピッチ脇の芝生が張られた斜面に座り、練習試合を取材していたときだった。目の前には3-4-2-1の左ストッパーを務める槙野智章がいた。

 指示を出す槙野の大きな声が、自然と耳に届く。

 それはなぜかとても心地が良くて、ふと気付いた。彼は誰よりも大きな声を出しているが、否定の言葉は一切発していないのだ。そうしながら、味方の好プレーを気持ちいいぐらいに褒めたたえていた。

 「いいぞ、もう少しラインを上げてみようか!」

 「よし。そこもっと強く当たりに行こう!」

 「いけるぞ、苦しいけれど、ここで踏ん張ろう」

 それ以降、練習試合や紅白戦などで、槙野の声に注意を向けるようになった。やはり槙野が味方に文句を言う=ネガティブな声は聞いたことがなかった。紅白戦の合間に失点シーンを確認するときも、決して否定したり、責めたりはしない。どうすれば防げたかを一緒に話し合う。

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最終更新:6/6(水) 11:31
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