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Jリーグ、2100億円の放映権料獲得 DAZNのデジタル配信でサッカーはどう変わる?

6/8(金) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 法人改革などでJリーグを変革してきた村井満チェアマンはデジタル戦略にも力を入れる。英パフォームグループのスポーツ動画配信サービス「DAZN(ダ・ゾーン)」との契約に踏み切り、2100億円の放映権料を獲得した。外部の力も借り、監督や経営人材の育成にも注力する。

■デジタル化するJリーグ

 ――チェアマンに就任後、デジタル戦略を加速し、2017年シーズンから始まったDAZNとの契約が話題になりました。どういう狙いだったのですか。

 「なぜDAZNでの配信が重要かと言うと、とてもシンプルな話で、スポーツは結果を知ってから見るのは面白くないからです。大事な試合になればなるほど、私も家で録画して耳をふさぎながら仕事をしていた記憶があります(笑)。サッカーはライブのスポーツ。今はスマートフォンが普及し、テレビやアンテナがなくてもいつでもどこでも手のひらで試合が見られる。まだ世界の主要リーグで配信サービスをやっている国はなかったのですが、必ずこれは主流になっていくだろうと思っていました」

 「2100億円という放映権の金額が話題になりましたが、実は我々にとって大きな意味を持つのは、制作をすべてJリーグが担い、著作権を持つということです。DAZNに販売したのは配信する権利であって、サッカー1000試合を初めてJリーグが制作したんです」

 「カメラ台数や試合前後のインタビューの段取りなどをJリーグが定めて、どんな試合でもパッと見てJリーグの試合だとわかるような見せ方にしました。この1年間、映像そのものをJリーグがブランディングしていったわけです。サッカーはどれだけ多くの人の目に触れるかが大事。制作、著作について我々が責任、覚悟を持つことがすごく大きかった。自分たちで制作して初めて、背番号が見にくいなど見せ方についてサポーターの目で考えるきっかけにもなりましたね。こうした知見はクラブにも還元できます」

 ――15年には年間入場者数が初めて1000万人を突破しました。Jリーグとしてクラブとはどんな関係を築いてきましたか。

 「Jリーグとクラブの関係は、クラブに不祥事があると制裁したり懲罰したり、ライセンスを満たさないと剥奪したり、管理する側とされる側というふうに思いがちです。もちろんそういう要素も残っていますが、個々のクラブがやったら重複投資になることを束ねて代わりにやるようにしました」

 「例えば、クラブごとにホームページをつくってもセキュリティーが脆弱になりがちですし、グッズの通販サイトもクラブが在庫を管理するのは大変です。デジタルプラットフォームをリーグ側で開発し、後はクラブ側でページを更新していくような仕組みをつくりました。クラブは競技に集中してもらい、デジタル投資はこっちでやる。選手の動きを『見える化』するため、軍事技術を転用した追尾システムをスタジアムに導入する試みも進めています」

 ――一方で、Jリーグから各クラブへの配分金を傾斜させ、護送船団方式から脱皮し、クラブ間の競争を生み出そうとしていますね。

 「Jリーグは各クラブに均等に配分金を支給してきましたが、入場者数や成績などに応じて少しずつ傾斜配分するようにしてきました。さらに17年からはJ1の1位から4位を対象にした『理念強化配分金』も新設しました。各クラブの合意を得る過程で、『反対意見の場合、評論、批判ではなく対案を提示してほしい』など、議論の枠組みを提示してから情報をオープンにして話し合うようにしました」

 「内なる競争が最終的には結果を生み出す。ビジネスもそうですよね。競合商品が参入してきたり、海外から競合他社がやってきたり、常に競争にさらされている業態ほどイノベーションを生み出します。逆に規制やルールに守られた独占市場の業態は、相対的に世界との競争に遅れていきます。競争はJリーグ全体の成長に必要なことです」

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最終更新:6/8(金) 10:12
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