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DA PUMP「U.S.A.」に似ている曲はどれ? ユーロビート系ハロプロ楽曲をチェック

6/10(日) 16:11配信

リアルサウンド

 DA PUMPの新曲「U.S.A.」が話題だ。くわしくは当サイト『リアルサウンド』にて先日掲載された記事「DA PUMP、話題の新曲「U.S.A.」が“バズる”理由 過去楽曲とグループのキャリアから考察」を読んでほしい。

 「U.S.A.」は、イタリアのアーティスト、ジョー・イエローが1992年にリリースしたユーロビート曲のカバー。DA PUMPによるカバー版では新たな日本語詞とともにリアレンジされてはいるが、大元のユーロビート色はそのまま受け継がれている。この“ダサい”とされることの多いユーロビートサウンド、さらに〈C'mon baby アメリカ〉〈どっちかの夜は昼間〉といったファニーな歌詞、そして「いいねダンス」「インベーダーダンス」などの振り付けといった諸要素が、SNSを媒介としたファンの間で話題となり、現在バズっているというわけだ。

 一般ファンのみならず、各界著名人たちもハマっているのを次々と公言し始めているが、本曲のMVがYouTubeで公開された5月16日以降、DA PUMPのファン以外で最初に興味を示したのはハロプロファン=ハロヲタたちと言われている。曰く、「U.S.A.」が放っている“ダサい”魅力に、つんく♂の作り出すハロプロ楽曲と同じ匂いを感じる、というのだ。

 確かに、ファニーな歌詞や変わった振り付けはハロプロ音楽において多々見られる傾向だ。ユーロビート要素が色濃い楽曲も多数ある。ただ、ここで一言言っておきたいのは、ジャンルの“るつぼ”であるハロプロ音楽において、ユーロビート系サウンドはあくまでひとつの選択肢であるということだ。「LOVEマシーン」に代表されるディスコもあれば、「One・Two・Three」などのEDMもあり、他にもロック、アメリカンポップス、ワールドミュージックなど様々なジャンルを取り入れつつ、おびただしい数の楽曲を20年間発表し続けているのがハロプロだ。「U.S.A.」に共通性を見出したハロヲタたちも、ユーロビートだからハロプロっぽい、というつもりではツイートしていないはず。

 とはいえ、ユーロビートおよびそこから派生したダンスチューン的なポップスは、ハロプロ音楽における主要ジャンルのひとつであることもまた確か。そこで本記事では、「ユーロビート系ハロプロ楽曲」の数々を紹介していきたい。



 実際に楽曲の紹介に入る前に、ユーロビートというジャンルが指し示しているものについて再確認しておきたい。ユーロビートを短文で定義づけると、「1980年代中ごろから欧州で発祥し、以降は日本で独自の発展を遂げた、電子楽器を活用したディスコ音楽の一種」といった感じになるだろうか。

 ユーロビートの音色的な特徴としては、「シンセサイザーによるリフ」、「オクターブで上下するシンセベース」、「ドラムマシンによるクラップ音の多用」などが挙げられる。ディスコからの発展型なので、リズムが四つ打ちなのはそのまま。前段階的なジャンルであるハイエナジーからテンポアップしてユーロビートへと発展した。

 その他、「オーケストラヒットによる派手なシンセリフ」、「“HO!”などといった派手なサンプリングボイスの連打」も挙げられるだろうが、これらはむしろユーロビートの隣接ジャンルであるハイパーテクノ(またはデステクノ、ジュリアナテクノとも呼称)の特徴と言えるだろう。

 もうひとつの隣接ジャンルとしてトランスもあるが、こちらはシンセフレーズなどの打ち込みがより細かく、ジャンル名称でもあるトランス=酩酊感へと誘うための幻惑的なサウンド……といったところだろうか。

 また、音楽ジャンルではなくダンスの様式として「パラパラ」がある。下半身は左右移動でステップを踏みつつ、上半身の手や腕を動かす踊りだ。主にユーロビートに付随するダンスだが、テクノ用の「テクパラ」、トランス用の「トラパラ」という呼び名もある。

 以上のように、厳密にはいくつかのジャンルに区分できるが、実際はこれらをひとまとめにして「ユーロビート」というイメージが流布していることが実情なのではないだろうか。



 それでは楽曲ごとに見ていこう。いくつかの傾向別に分類して紹介する。

■ハイエナジー系

 そこまでテンポが高速じゃない楽曲について、ひとまずハイエナジー系としてまとめる。DEF.DIVA「好きすぎて バカみたい」は安倍なつみ・後藤真希・石川梨華・松浦亜弥というハロプロ史上でも一時代を築いた歌姫4人によるスペシャルユニット曲。石川梨華がリーダーだった3人組グループ・美勇伝のシングル曲「愛すクリ~ムとMyプリン」は、バニーガール風衣装がとかく話題になりがちだが曲調はユーロビート系。アルバム曲「Tea Break」も同系統として挙げられる。Berryz工房のシングル「愛の弾丸」のカップリング曲だった「思い出」も隠れた逸品。

 後藤真希のシングル「サヨナラのLOVE SONG」のカップリング収録の「DANCE DANCE DANCE」は、バブル絶頂期の日本のディスコを舞台にした主演ミュージカル『サヨナラのLOVE SONG』の劇中使用曲として制作された。つまり明確なコンセプトによるパロディ曲とも言える。

 やはり後藤のシングル「やる気! IT'S EASY」およびカップリング曲「気まぐれ」の2曲は、ダンスビートは控えめでややポップス寄り。イギリスの3人組音楽プロデューサーチームであるStock Aitken Waterman(略称SAW)が80年代後半に手がけた楽曲は、カイリー・ミノーグ「ラッキー・ラブ」(「I Should Be So Lucky」)、BANANARAMA「Venus」など、いずれもユーロビートをポップスへと昇華させた作風。これらはSAWの所属レーベル名<Pete Waterman Limited>にちなんでPWL歌謡と呼ばれることが多いが、「やる気! IT'S EASY」「気まぐれ」もこの辺りの影響が色濃い。

DEF.DIVA「好きすぎて バカみたい」(作詞・作曲:つんく(以下特記ない限りすべて) 編曲:平田祥一郎|収録:同|2005)

美勇伝「愛すクリ~ムとMyプリン」(編曲:大久保薫|収録:同|2006)

美勇伝「Tea Break」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:美勇伝『スイートルームナンバー1』|2005)

Berryz工房「思い出」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:Berryz工房『愛の弾丸』|2011)

後藤真希「DANCE DANCE DANCE」(編曲:小西貴雄|収録:後藤真希『サヨナラのLOVE SONG』|2004)

後藤真希「やる気! IT'S EASY」(編曲:前嶋康明|収録:同|2002)

後藤真希「気まぐれ」(編曲:河野伸|収録:後藤真希『やる気! IT'S EASY』|2002)

■ユーロビート/ハイパーテクノ系

 まずは、比較的ライトで楽しい雰囲気を醸し出している楽曲たちから。ハロプロのユーロビート系楽曲の中でもかなりの有名曲は、カントリー娘。に紺野と藤本 (モーニング娘。)「浮気なハニーパイ」ではないだろうか。オケヒットやボイスサンプル、ラップといったハイパーテクノ的要素がふんだんに盛り込まれており、さらに足をパカパカさせる変わった振り付けも印象的。リリース自体は2003年だが、近年ではカントリー・ガールズがライブレパートリーに加えているので最近のファンにもおなじみだろう。

 「革命チックKISS」もカントリー娘。の曲だが、カントリーミュージック的なバンジョーの音色が加わっているのが特徴。つんく♂公式サイト内のセルフライナーノーツでは本曲を「ハイパーカントリーユーロ」と形容している。

 ユーロビートのいい意味で明るく軽い雰囲気を体現しているナンバーといえば、モーニング娘。「Go Girl ~恋のヴィクトリー~」だろう。光井愛佳のソロ曲「私の魅力に 気付かない鈍感な人」はアイドルソング的なコールが入れやすく、披露されれば百発百中で盛り上がるアゲ曲。ハロプロ研修生の初オリジナル曲「彼女になりたいっ!!!」は、部分的にレゲトンのリズムが顔を覗かせるものの、基本的には高速ユーロビートだろう。

カントリー娘。に紺野と藤本 (モーニング娘。)「浮気なハニーパイ」(編曲:守尾崇|収録:同|2003)

カントリー娘。「革命チックKISS」(編曲:高橋諭一|収録:カントリー娘。『カントリー娘。大全集2』|2006)

モーニング娘。「Go Girl ~恋のヴィクトリー~」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:同|2003)

光井愛佳「私の魅力に 気付かない鈍感な人」(編曲:湯浅公一|収録:モーニング娘。『プラチナ 9 DISC』|2009)

ハロプロ研修生「彼女になりたいっ!!!」(編曲:大久保薫|収録:同|2012)

 続いて比較的マイナー調のものを見ていこう。美勇伝「FANTASY」は、ユーロビートのパブリックイメージにかなり忠実な一曲ではないだろうか。メロン記念日「かわいい彼」、℃-ute「即 抱きしめて」も同系統。スマイレージの2ndアルバム『2スマイルセンセーション』では「大人の途中」「ねぇ 先輩」と、ユーロ的な楽曲が2曲も収録されている。

美勇伝「FANTASY」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:美勇伝『美勇伝シングルベスト9 Vol.1 おまけつき』|2007)

メロン記念日「かわいい彼」(編曲:守尾崇|収録:同|2003)

℃-ute「即 抱きしめて」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:同|2006)

スマイレージ「大人の途中」(編曲:平田祥一郎|収録:スマイレージ『2スマイルセンセーション』|2013)

スマイレージ「ねぇ 先輩」(編曲:平田祥一郎|収録:スマイレージ『2スマイルセンセーション』|2013)

 モーニング娘。の道重さゆみ含む5人による選抜ユニット曲「トキメクトキメケ」もかなりユーロビート的。「悲しき恋のメロディー」も同系統だが、もう少しクール寄りか。娘。黄金期のナンバー「Say Yeah! -もっとミラクルナイト-」や「いきまっしょい!」はライブ鉄板曲。2012年の「ドッカ~ン カプリッチオ」も同じく盛り上がる一曲だ。

 ヨーロッパ的な哀愁メロディはユーロビートの特徴のひとつだが、モーニング娘。「女に 幸あれ」のメロディも相当に濡れていて、ほとんど演歌やムード歌謡に近接している。この路線はモーニング娘。プラチナ期によく見られるものでもある。High-King「記憶の迷路」にも同質のものを感じる。またこの曲では間奏にヘヴィメタル的なギターソロが入ってくるが、ユーロビートにギターが入るのはかなり珍しい。℃-ute「Midnight Temptation」も、ユーロビートとロックの折衷サウンドとでもいうべきものだろう。

道重さゆみ、譜久村聖、生田衣梨奈、飯窪春菜、石田亜佑美「トキメクトキメケ」(編曲:江上浩太郎|収録:モーニング娘。『ブレインストーミング / 君さえ居れば何も要らない』|2013)

モーニング娘。「悲しき恋のメロディー」(編曲:大久保薫|収録:モーニング娘。『ピョコピョコ ウルトラ』|2012)

モーニング娘。「Say Yeah! -もっとミラクルナイト-」(編曲:小西貴雄|収録:モーニング娘。『ベスト! モーニング娘。1』|2001)

モーニング娘。「いきまっしょい!」(編曲:小西貴雄|収録:モーニング娘。『4th「いきまっしょい!」』|2002)

モーニング娘。「ドッカ~ン カプリッチオ」(編曲:大久保薫|収録:モーニング娘。『13カラフルキャラクター』|2012)

モーニング娘。「女に 幸あれ」(編曲:江上浩太郎|収録:同|2007)

High-King「記憶の迷路」(編曲:江上浩太郎|収録:High-King『C\C (シンデレラ\コンプレックス)』|2008)

℃-ute「Midnight Temptation」(編曲:湯浅公一|収録:℃-ute『超WONDERFUL!6』|2011)

■トランス系

 日本でトランスブームが起こったのは2000年代初頭のことだったが、同時代の流行サウンドを取り入れた形の楽曲がいくつかある。志村けんとミニモニ。の共演企画曲「アイ~ン! ダンスの唄」は、歌詞に〈HEY! カモン ドンストッ さあ トランス アイ~ン!〉という一節がある。松浦亜弥「GOOD BYE 夏男」も同傾向のサウンド。

 オリジナル曲ではないケースだが、前述の「Say Yeah! -もっとミラクルナイト-」は、モーニング娘。さくら組/おとめ組のシングルカップリング曲にてセルフカバーされており、トランス寄りのリアレンジが施されている。また、2002年の企画アルバム『CLUB Hello! TRANCE REMIX』では、モーニング娘。「LOVEマシーン」やミニモニ。「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」などの人気曲15曲がトランスアレンジでリミックスされたこともあった。

バカ殿様とミニモニ姫。「アイ~ン! ダンスの唄」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:バカ殿様とミニモニ姫。『アイ~ン体操 / アイ~ン! ダンスの唄』|2002)

松浦亜弥「GOOD BYE 夏男」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:同|2003)

モーニング娘。さくら組「Say Yeah! -もっとミラクルナイト- (モーニング娘。さくら組 Version)」(編曲:守尾崇|収録:モーニング娘。さくら組『さくら満開』|2004)

モーニング娘。おとめ組「Say Yeah! -もっとミラクルナイト- (モーニング娘。おとめ組 Version)」(編曲:守尾崇|収録:モーニング娘。おとめ組『友情 ~心のブスにはならねぇ!~』|2004)

■パラパラ系

 先に述べたように「パラパラ」という用語自体は音楽ジャンルではなくダンスの様式だが、ハロプロ楽曲の振り付けでパラパラの要素が強いものがいくつかあるので、こちらにまとめた。Berryz工房「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」は、サウンド自体はトランス風味が強いが、振り付けは明らかにパラパラを意識したものだろう。

 モーニング娘。「SEXY BOY ~そよ風に寄り添って~」は、ユーロビートにおけるシンセリフをギターに変換したかのような風変わりなサウンド。なお、この曲のシングルCDには振り付けの一部をイラスト付きで解説し〈ちまたで超うわさで~す!! おどってねっ〉と記載されたチラシが封入されていた。他にも娘。ではアルバム曲「OK YEAH!」もパラパラ色が強かった。そしてスマイレージ「有頂天LOVE」は、パラパラ的な振り付けもさることながら、ユーロビートをアイドルポップスとして昇華させる際の最適解と言いたくなるほどの傑作曲だ。

 厳密にはハロプロ外だが、ぜひ紹介しておきたいのがギャルル「Boom Boom めっちゃマッチョ!」およびカップリング曲の「女のウルトラ」。ギャル社長として有名だった藤田志穂プロデュースのユニットで、楽曲プロデュースがつんく♂、メンバーはギャル曽根・時東ぁみ・安倍麻美の3人。ギャルをテーマとした企画シングルで、サウンドは王道ユーロビートの楽しいものだった。

Berryz工房「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」(編曲:平田祥一郎|収録:同|2005)

モーニング娘。「SEXY BOY ~そよ風に寄り添って~」(編曲:高橋諭一|収録:同|2006)

モーニング娘。「OK YEAH!」(編曲:大久保薫|収録:モーニング娘。『12,スマート』|2011)

スマイレージ「有頂天LOVE」(編曲:大久保薫|収録:同|2011)

ギャルル「Boom Boom めっちゃマッチョ!」(編曲:鈴木Daichi秀行|収録:同|2007)

ギャルル「女のウルトラ」(編曲:田中直|収録:ギャルル『Boom Boom めっちゃマッチョ!』|2007)

■ユーロビート関連系

 この他、ユーロビート要素が認められるものの、上記の楽曲群と並べるには若干異なるのでは……と思える微妙なものが多数あるので、ここでは曲名を列挙するのみにとどめておく。モーニング娘。「電車の二人」「元気+」「シャニムニ パラダイス」、後藤真希「来来!「幸福」」、プッチモニ「BABY! 恋にKNOCK OUT!」、W「デコボコセブンティーン」、Berryz工房「BERRY FIELDS」「抱きしめて 抱きしめて」「すっちゃかめっちゃか~」「コイセヨ!」等々……。

 また、シングル表題曲でありがちな、いわゆるダンスチューンと呼ばれるようなタイプの楽曲は、打ち込みのリズムという意味では多かれ少なかれユーロビートと隣接している。℃-ute「都会っ子 純情」や「Kiss me 愛してる」以降のシングル群、スマイレージ「夢見る 15歳」や「好きよ、純情反抗期。」以降のアンジュルム改名前までのシングル群において特に多く見られる。これらもユーロビートと捉えると一気に数が増えてしまうので、本記事では別枠にしておく。つんく♂作曲以外では、℃-ute「The Middle Management ~女性中間管理職~」、つばきファクトリー「低温火傷」などもこれらの部類に入るだろう。



 というわけでユーロビート系ハロプロ楽曲を一通り見てきた。DA PUMP「U.S.A.」に似ている楽曲は、特にこれ一曲と絞るのはなかなか難しい。「ユーロビートサウンド」、「シュールな歌詞」、「キャッチーな振り付け」の3要素のうち、前2つを満たしているものは多数あるが、3つすべてを兼ね揃えているものは意外と少ないのだ。そういう意味ではカントリー娘。に紺野と藤本 (モーニング娘。)「浮気なハニーパイ」が一番近いのかもしれないが、サウンド的にはもうちょっとクール寄りなもの、美勇伝「FANTASY」かメロン記念日「かわいい彼」が近いだろう。正解は、本記事で挙げた楽曲たちを聴いてアレコレ楽しみつつ、あなたに考えてもらいたい。

ピロスエ

最終更新:6/10(日) 19:51
リアルサウンド