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障害年金、精神疾患もカバー 初診日の年金資格が重要

6/11(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 ケガや病気で障害を負った人がもらえる障害年金の受給者が増えている。2016年度は約200万人に達し、15年間で3割弱増えた。高年齢化に加え、受給者の半分を占める精神・知的障害者の増加などが背景にある。それでも制度の認知度はまだ低く、請求漏れも多いとされる。制度の仕組みと注意点を探った。

■請求権の時効は5年

 50代のA男さんは大企業勤務だったが重度のうつ病で8年前に退職したままだ。知人から「障害年金の対象かも」と聞いて請求すると認められ、年に180万円ほどの受給が決まった。

 障害年金を遡って受け取れる時効は原則5年。8年前から受給資格があったと認定されたため5年分の約900万円は受給できたが、本来もらえるはずだったその前の3年分の500万円強の権利を失った。
 A男さんの請求を手伝った社会保険労務士の相川裕里子氏は「障害年金の対象になると知らないために申請しなかったり遅れたりする例が目立つ」と話す。
 障害年金は目や手足の障害だけが対象だと思う人が多いが、実際はうつ病や糖尿病、がんなど傷病名にかかわらず、生活や仕事が制限される状態になれば請求できる。「化学物質過敏症、慢性疲労症候群などによる障害も、病気への理解が進み受給が増えている」(社労士の佐々木久美子氏)
 請求できるのは障害の原因となった病気やケガの初診日に、国民年金または厚生年金の被保険者か、国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満の人。初診日の前々月までの年金加入期間に3分の2以上保険料を納めている(免除を含む)か、前々月までの直近1年間に未納がないことが条件だ。20歳前については年金未加入期間が初診日なら保険料の納付要件はない。
 重要なのは初診日を証明すること。通常、カルテなどを基に所定の書類を出すが、カルテの保存期間は原則5年なので、長期間たってから障害年金の対象だと知って証明をもらおうとしても、カルテが廃棄され請求を断念する人も多い。
 ただ診察券やお薬手帳、民間保険会社への請求資料や第三者の証言などで認められることもあるうえ、「5年以上カルテを保存している病院もあるのであきらめないことが肝心」(社労士の望月厚子氏)だ。
 初診日に厚生年金に加入していれば障害厚生年金、そうでなければ障害基礎年金を受給する。障害厚生年金は基礎年金に上乗せされるので受給額が増える。しかし、会社員時代に傷病が始まったのに診察を受けずに退社したせいで障害基礎年金しかもらえない人も多い。「初診日が厚生年金加入期間になるよう退社前に診察を受けておくべきだ」(望月氏)
 障害の重さは原則、「障害認定日」の状態で判断される。障害認定日とは、初診日から1年6カ月を経過した日、もしくはそれ以前に症状が固定した日だ。重さによって1~3級(3級は障害厚生年金のみ)に分かれ、受給額が異なる。

 日本年金機構はホームページに1級なら「両眼の視力の和が矯正後で0.04以下」「両手に著しい障害」などの例を挙げている。ただし精神疾患や内臓疾患など他の傷病でも、生活や仕事が同様に制限されれば同じ等級になる。表Bのように「1級はベッドの周辺で1日を過ごす」などのイメージでつかむといい。自治体が発行する「身体障害者手帳」とは基準が異なる。
 認定は年金機構による書類審査で医師の診断書を基にする。「医師の前で元気そうにしたことが診断書に反映されるケースも多い。労働や生活が不自由な実態をきちんと書いてもらうことが大事」(佐々木氏)
 主治医が障害年金の請求に不慣れで、診断書の状態を軽く書いてしまうこともある。「請求前に診断書に目を通して確認したい」(相川氏)。患者や家族の「病歴・就労状況等申立書」なども参考にされる。
 受給額は障害基礎年金の2級なら、老齢基礎年金の満額と同額。18年度は年77万9300円で1級はその1.25倍。18歳までの子がいれば加算される。障害厚生年金は勤続年数(最低25年で計算)や収入によって変わる。これに一定条件で配偶者の加算がつく。

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最終更新:6/11(月) 10:12
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