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事実上の決裂に近いG7サミットと日本の微妙な立ち位置

6/11(月) 8:22配信

NRI研究員の時事解説

G7では貿易問題を巡って激しい対立

カナダケベック州で開かれ6月9日に閉会したG7サミット・先進7カ国首脳会議では、12日に開かれる米朝首脳会談について各国が米政府を支持することを確認した。

一方貿易問題を巡っては、米国と他国との間で激しい対立が生じ、それが解消しないまま閉会を迎えることとなった。米国以外の国々が団結しても、米国の保護貿易主義的な政策を翻意させることはできなかった。これは、先行きの貿易問題の見通しをより厳しくするとともに、G7サミットの有効性、意義についても疑問を投げかける結果となった。

安倍首相はG7サミット閉幕後の記者会見で、貿易をめぐって激しい意見のやりとりがあったと述べ、米国の保護主義政策が焦点となったことを認めた。他方、一時は危ぶまれた首脳宣言がなんとか採択され、「保護主義と闘い続ける」と明記されたことの重要性を強調した。

トランプ大統領にG7サミット軽視との批判も

しかしトランプ大統領は、貿易問題を巡るG7サミットでの議論を一方的に打ち切るかのように、サミット2日目後半の討議に参加せず、米朝首脳会談が開かれるシンガポールに向けて出発した。これをG7サミット軽視と批判する向きもある。

北朝鮮との間で歴史的な合意を得て米国内での政治的な得点を挙げることを、G7サミットや他の先進国との協議よりも優先する立ち振る舞いとも映った。またトランプ大統領は、2国間での取引(ディール)を得意とする一方、多国間での交渉は苦手であることも背景にあるのかもしれない。

G7サミット閉幕後により明確に露呈された対立

米国と他国との対立は、G7サミット閉幕後により明確に露呈されるという異例の展開となった。9日にトランプ米大統領はツイッターに、「G7首脳宣言を承認しないよう米代表団に指示した」と書き込んだ。G7首脳が一度採択した首脳宣言に反対するのは極めて異例の事態である。これは議長国であるカナダのトルドー首相が記者会見で、米国の鉄鋼輸入制限措置を強く非難したことへの反発だったと見られる。このことは、米国とカナダ、メキシコとの間での北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉にも悪影響を与えるだろう。

ただし、G7サミット閉幕後に米国の保護貿易主義的な政策姿勢を明確に非難したのは、トルドー首相だけではない。鉄鋼、アルミニウムに対する追加関税について、メイ英首相は欧州連合(EU)が対抗措置を取るだろうと述べた。またメルケル独首相も貿易は国際ルールに基づくべきだと語り、米国の措置を批判した。

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