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中国からの海外住宅投資の拡大と規制

6/12(火) 8:13配信

NRI研究員の時事解説

各国で相次ぐ中国を意識した海外からの住宅投資の抑制措置

内外での規制強化の動きにも関わらず、中国国民は海外不動産投資への強い関心を失っていない。従来、中国国民に最も人気があった投資先はオーストラリアとカナダだった。しかし、中国国民による不動産投資の拡大が当地での住宅価格の高騰をもたらし、その結果、繰り返し当局による規制強化を招いてきた(注1)。

近年では、シドニーがあるオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州が2016年6月に、海外からの不動産投資に4%の課税を行い、またメルボルンがあるビクトリア州が同年7月に海外からの不動産投資への税率を3%から7%へ引上げた。

また2016年7月にはカナダのブリティッシュ・コロンビア州が、海外からの住宅投資に15%の高い課税を導入することを発表した。さらに2017年7月には、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州が税率を8%へと引き上げた。このように、カナダとオーストラリアが競うような形で、中国を意識した海外からの住宅投資の抑制措置が相次いでとられてきた。

ニュージーランドもターゲットに

そうした中、中国国民による新たな住宅投資のターゲットとなったのは、ニュージーランドの首都オークランドだった。オークランドは人口100万人強の比較的小規模な都市であるうえ、寛容な移民政策、海外からの不動産投資に対する緩い規制といった好条件が揃ったことから、中国からの住宅投資の増加を招くようになっていった。

しかし2017年には、中国からの住宅投資の増加の影響を受けた住宅価格の高騰が大きな政治問題へと発展した。住宅価格の高騰は、ニュージーランド人がオークランドで持ち家を所有することを難しくさせていったのである。ニュージーランドでの持ち家比率は40歳未満で約25%と、1951年以来最低水準に達した。同比率は1991年には約50%だった。

中道左派の労働党は、ニュージーランド人が持ち家を取得することを容易にするために、海外からの住宅投資を規制する考えを掲げ、さらに同党が2017年10月に政権に就くと、非居住者が国内の既存の住宅を購入することを禁じる考えを明らかにした。その直後には、規制導入前の駆け込み購入が広く発生した。

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