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粉飾決算をプログラムで見抜け!「伝説の会計士」の挑戦

6/13(水) 7:00配信

現代ビジネス

 粉飾を見抜けない監査法人。明確な上場廃止基準を持ちながら、不正会計にまみれた東芝の上場維持を決定した日本取引所の自主規制法人。日本の監査が岐路を迎える中、「伝説の会計士」が立ち上がった。

セミナーはいつも満席

 「営業キャッシュフローは直近3か年度、赤字が続いている。こんな会社は上場企業主要100社だけでこの会社だけだ。それなのに直近3か年度の当期純利益の合計は700億円を超えている。現金の裏付けのない利益が700億円もあるのは、粉飾だと言われても仕方がない」

 とある信用調査会社が3月中旬に都内で開いた報告会。一人の会計士が熱を帯びて説明しているのは、一部上場企業の財務諸表から見破った「粉飾決算」の形跡である。

 破綻や倒産に直結しかねない資金繰りの悪化や、不祥事に発展しステークホルダーを巻き込んだ騒動に発展しかねない情報が交換されるこの報告会では、取引企業を吟味したり、疑念のある取引先の状況をいち早く手にしておきたい企業の担当者が熱心にメモを取る。

 最近になって満席が続く盛況となっているが、その理由は一人の元公認会計士が開発した「フロード・シューター」というソフトにある。日本語に訳すのがやや憚られるが、このソフト、財務諸表から「粉飾決算」に繋がる動機を探り当てることができるということで注目を集めているのだ。

 「粉飾」はなぜおこるのか。日興コーディアル証券事件、オリンパス事件、そして東芝事件とこれまで数々の粉飾決算事件が発生し、そのたびにその企業や監査法人が存亡の危機に瀕してきた。株主をはじめステークホルダーも大きな被害を受ける粉飾決算は、日本企業やマーケットの信頼を著しく棄損した。ところが、日本では「なぜ粉飾が起きるのか」、その明確な解が示されたことはない。

 そのため粉飾決算を防ぐ有効な仕組みが考案されたり、改革が行われたりすることもなかったのである。この状況を覆そうと開発されたのが「フロード・シューター」である。この元公認会計士は長年の経験で培われた分析力に基づき、「財務諸表の危険度を可視化することに成功した」と語る。

 そして危険度の高い企業がなぜそうなったのかをつぶさに調べれば、「高い確率で粉飾の動機にぶち当たる」というのである。

 細野祐二氏――。

 第一線の会計士たちでこの名前を知らない人はいないだろう。また粉飾決算を疑い、企業動向のチェックを欠かさない記者やジャーナリストの間でも、特に著名な人物だ。

 4大監査法人の一角KPMG日本(現あずさ監査法人)の代表社員を務めるエース会計士としてすぐれた論文を発表していた04年、害虫駆除大手「キャッツ」の粉飾決算に共謀したとして逮捕された。

 一貫して無罪を主張する中で『公認会計士VS特捜検察』や『法務会計学VS粉飾決算』を著して、会計士のみならず検察や国税の実務家たちからもその発言は注視されてきた。

 最高裁で有罪が確定し、公認会計士登録が抹消された今日でも『粉飾決算VS会計基準』を著し、自らが罪に問われた粉飾決算をテーマに企業や司法の動向を厳しく評定している。細野氏は逮捕や裁判を通して、より粉飾への厳しい視線を育み、誰よりも会計学の有効性をかみしめてきた人物なのである。

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最終更新:6/13(水) 13:20
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