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マルクスの『資本論』を少年マガジン的手法を駆使して漫画にしてみた

6/13(水) 15:00配信

現代ビジネス

「哲学」をエンターテインメント漫画に?

 世界の名著を漫画にするというのは結構前からありました。ほとんどは小説です。しかし私は全く興味がなかったので昨年まで読んでいませんでした。

 ところが、突然、役員から「世界の名著で漫画を作れ」と言われたのです。慌ててあっちこっちの名著ものの漫画を読みまくり、かつ頭をズキズキさせながら哲学書も毎日読むようになりました。でも、ほとんど頭に入らないのです。

 その難しい哲学を、さらに漫画にするという、これはかなり難しい作業なのです。漫画編集者歴ウン十年である私の経験から言えば、普通のオリジナルの漫画の数倍労力を使います。

 何しろ哲学なんて元々論文なのですから、それをストーリー漫画にする、つまりエンターテイメントに仕上げるのは普通の漫画よりハードルが二つ三つ多いのです。

 普通の漫画なら、例えば野球漫画だったら、ルールを確認して過去の資料を読み込み、時々映画を観て設定などを考えます。これも結構大変です。閃くまでうんうん唸るのです。

 しかし今度は哲学です。本当にできるのかなと不安な日々でした。

 ある日、ハタと気が付くのです。(キャバクラ好きの漫画家はたくさん見たが、哲学が好きな漫画家って会ったことがない。どうしよう)

 あっちこっち調べていると、やたらドストエフスキーの小説を漫画で描いている人を発見しました。

 もし自分が漫画家で名作を漫画にしろと言われたら,読みやすいものを選びます。ドストエフスキーなんて選びません。

 早速連絡先を調べて会いに行きました。それが岩下博美さんでした。ちなみに岩下さんは男性なのです。

ドストエフスキー好きの漫画家がいた!

 この人と話し始めて驚くのです。

 「いやあ、高校の時からドストエフスキーが好きでしてねえ」

 ここまでは普通です。

 「一応日本で訳されているものは全部読んだんですが、あの本の翻訳というか解釈は少しおかしくないかなあ。ドストエフスキーの言いたいこととちょっと違うと思うんですよ」

 「はあ?」

 「ゾシマ長老が死ぬシーンあるじゃないですか。尊敬する長老の遺体だからと『奇蹟』が起きるとアリョーシャは期待したけど、長老の遺体は腐敗し始めてアリョーシャが悲しみ、怒るシーンですよ」

 「ああ、そんなシーン、たしかにありましたね」

 本当はボンヤリとしか覚えておりません。

 「あれって、アリョーシャの怒りと悲しみは『奇蹟』を起こさなかった神への怒りだと思うんですよ」

 「なるほど。そういう解釈ですか」とわざと渋い顔をしてわかったようなふりをしました。私は本当に調子がいい男なのであります。

 それにしても、この人はそんなことまで考えて読んでいたのかと驚くばかりなのであります。

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最終更新:6/13(水) 15:00
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