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香川真司が輝いた理由。トップ下は本田圭佑より適任、パラグアイ戦で示した明らかな優位性

6/13(水) 7:30配信

フットボールチャンネル

 香川真司の本来あるべき姿が戻ってきた。現地時間12日に行われたパラグアイ代表に4-2で勝利した日本代表の攻撃を、背番号10は力強くけん引した。

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 8日のスイス戦から先発メンバーを10人変更した中で、香川は4-2-3-1のトップ下に入った。守備時にはFW岡崎慎司と横並びになり、4-4-2に近い形でパラグアイの最終ラインや中盤にプレッシャーをかける。

 攻めに転じれば、岡崎や左サイドの乾貴士、右サイドの武藤嘉紀と有機的に絡みながらチャンスを演出した。2月から5月にかけて長期離脱を強いられ、代表では長く主役の座から離れていた香川にとって、ラストチャンスとも言えた一戦で1ゴール2アシストという結果を残せたことは、今後に向けて非常に大きな意味を持つかもしれない。

 香川が輝けた理由はいくつかある。1つは周囲の選手との相性が関係している。個人の力で局面を打開するタイプでない背番号10は、力を発揮するために「スペース」を必要とする。例えばパラグアイ戦であれば、岡崎がすっと横にずれたところに香川が飛び込んで裏の「スペース」に抜けていく、内側に走り込む武藤の動きに合わせて右の「スペース」に侵入するといった動きが見られた。

 そして、セレッソ大阪時代にも共にプレーしていた乾との関係性は抜群で、互いの特性を知り尽くしている。逆に前線に張ったまま動きの幅が少なくゴール前の「スペース」に蓋をしてしまうFW大迫勇也や、必要以上にボールを持ちたがってスピードを落とし「スペース」を消してしまうMF本田圭佑と、香川の相性は悪い。

 香川が持っている本来の力を引き出すには、周囲の選手も含めて動き続けることが必要になる。ボルシア・ドルトムントのスタイルが、まさにそれだ。岡崎は「スペース」を作る側にも使う側にも回れるし、乾や武藤は周囲の選手が作った「スペース」からゴールへの道筋を見つける術に長ける。

 一方、本田は「スペーススナッチャー(強奪者)」になりかねない。時に戦術的な決まりごとを無視しているような動きでボールを必要以上に要求するが、ゴールへ向かう際の判断力に難があり、味方の「スペース」を食いつぶし強奪しながら、攻撃のスピードを削いでしまうようなプレーが目立つ。

 実際、スイス戦では本田が相手ペナルティエリアに侵入した回数は極端に少なかった。トップ下という攻撃を司るポジションでありながら、直接ゴールを脅かすような効果的な動きができていたとは言えないだろう。

 もう1つ、香川の特徴を生かしやすくするには後方のセントラルMFの人選が重要になる。パラグアイ戦では、柴崎岳が背番号10の持ち味を引き出した。スペインで揉まれて欧州基準のゲームメイク術を身につけた柴崎には、最も遠い選手の動き出しを見逃さない視野の広さがある。

 26歳の司令塔はいつも通り表情ひとつ変えず、淡々と鋭い縦パスを前線に刺していく。香川はコンパクトかつスピーディなターンも武器としており、縦パスを受けて前を向く、裏に抜けてスルーパスを受けるといったゴールに向かうプレーを見逃さない柴崎のようなパス供給源の存在は大きい。

 柴崎自身も試合後に「トップ下が(香川)真司さんだったので、彼に預けていこうという部分はあった。反転が得意な選手ですし、そういったボールを入れれば、多くのアイデアを持っている選手なので、そこはすごいやりやすかった」と香川とのプレーに手応えを口にした。

 以前は香川と本田が同じピッチで共存することもあった。だが、スピードや活動量に乏しい背番号4はもはやサイドでプレーできるほどではなく、トップ下だとしても現状は香川の方がクオリティの高いプレーを見せている。

 もちろんパラグアイが万全の状態でなかったことは差し引いて考えなければならないが、現状のやり方でワールドカップ本大会に臨むのであれば、トップ下は本田よりも香川の方が適しているだろう。周囲を生かし、自らも生かされる背番号10はロシアの地でゴールの可能性を感じさせるまでに復活を遂げた。

フットボールチャンネル編集部

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