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東海道新幹線殺傷 被害者友人が怒る「Mr.サンデー」の心ない報道〈週刊朝日〉

6/14(木) 18:27配信

AERA dot.

 6月9日夜、東京発新大阪行きの東海道新幹線内で発生した殺傷事件から1週間近く経つが、助けに入った会社員梅田耕太郎さん(38)を悼む声は絶たない。

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 梅田さんのテニスサークル仲間だった40代の女性が本誌の取材に答えた。

「梅ちゃんはいつも笑顔で、みんなに気を遣う、明るくて優しい人でした。もうあの笑顔が見られないのかと思うと、犯人が憎くてなりません」

 テニスがうまく、東大卒でもある梅田さんは「文武両道のかがみ」のような人物だったという。

「それをひけらかす様子もなく、腰の低い謙虚な方でした。自己主張することもなく、相手の話をよく聴いてくれる紳士な態度でした。サークル内でも、和やかにテニスを教えてくれたり、1人でいると優しく声をかけたりしてくれました。そんな彼だから、新幹線内で襲撃された女性を守ろうとしたのだと思います」

 一方で、梅田さんの行動が「容疑者を刺激した」という一部報道を受け、ネット上では炎上騒ぎとなった。事の発端は事件翌日のフジテレビの情報番組「Mr.サンデー」。リポーターが、警察の捜査の見立てとして、「梅田さんが立ち向かったおかげで多くの乗客が助かった」という見方と、「梅田さんが立ち向かって容疑者を刺激して、最悪の事態を招いてしまった」という見解を報じたのだが、後者について、「伝える必要があったのか」などと批判が上がった。

 前出の女性は「梅ちゃんは背が高く、スポーツマンだから、体力に自信があったかもしれない。1人で勇敢に立ち向かった梅ちゃんの素顔を知らない、無責任な批判はいりません。彼がいなかったら、被害はもっと拡大したと思いました」

 番組内容に対し、フジテレビは「リポーターは『立ち向かうという勇敢な行動を取った方が、逆上した容疑者に凄惨な方法で殺害される最悪の事態となった』という趣旨で、『最悪の事態を招いた』とお伝えしてしまいました。言葉が足りない不適切な表現だったと深く反省しております」と回答した。

 亡くなった梅田さんの遺族は、代理人の弁護士を通じ、「突然、家族を奪われたこの悲しみは、言葉では言い尽くせません。今は、そっとしておいてもらいたいです」とのコメントを公表。けがをした女性(26)も弁護士を通じ、「助けていただき、亡くなられた方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。ご冥福を心よりお祈りします」とのコメントを出した。

 梅田さんは外資系企業に勤務し、人望が厚かったとも報じられている。優秀な人材の不遇な死は、新幹線内の安全警備に一石を投じた。JR東海は警備員を配置する方向性を発表するが、緊急時の乗客との協力態勢を整える契機となるかもしれない。(野島茂朗)

※週刊朝日オンライン限定記事

最終更新:6/15(金) 10:47
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