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暴力とハラスメントが止まらぬ米音楽業界に、なぜ「#MeToo」の波は押し寄せないのか?

6/14(木) 12:13配信

WIRED.jp

映画からIT、そして科学に至るまで、さまざまな分野へと影響が広がっている「#MeToo」ムーヴメント。しかし米国の音楽業界では、著名なプロデューサーや人気アーティストなどがハラスメントや暴力で告発されても盛り上がりに欠け、大きなうねりが起きるには至っていない。それはいったいなぜなのか、音楽業界で起きた数々の事件を振り返りながら考える。

変化を妨げる「仲間同士の共謀」

前歯が折れるほど女性の顔を何度も殴った疑いで男性が当局に出頭する場合、さまざまな対応方法がある。そのうち最も特異な選択肢は、「これは陰謀だ」と主張することかもしれない。

だが、ラッパーのファボラス(Fabolous)が、元恋人でリアリティ番組「Love & Hip Hop」のスターであるエミリー・ビー(Emily B)から虐待で告発されたとき、この件について聞かれたシンガーのリル・モー(Lil’ Mo)がとったのは、まさにその選択肢だった。

ファボラスとのコラボレーション歴が長いリル・モーは、彼が逮捕された直後、あるジャーナリストに「どうやってこの情報を知ったの?」と尋ねた。リル・モーは、ABCのラブ・サスペンスドラマ『スキャンダル 託された秘密』に登場するスキャンダルを解決する主人公を引き合いに出しながら、「この件では、わたしがオリヴィア・ポープになる」と語った。「わたしの兄弟が陰謀に巻き込まれる前にね。何かがおかしい気がするわ」

最近の音楽業界を注視してきた人なら、確かに何かがおかしいような気がするだろう。だが、その「おかしさ」は、リル・モーが思っているようなものではない。

「#MeToo」ムーヴメントは、働く女性があまりにも頻繁に耐えることを余儀なくされ、これまでほとんど語られてこなかったハラスメントや虐待に対し、ふさわしい処罰を与えることに成功している。だが、映画やテレビ、報道、テクノロジー、学術、金融、そして飲食業界に至るまで、#MeTooムーヴメントがさまざまな分野に影響を及ぼしているにもかかわらず、音楽界はそうとはいえないのが実情だ。

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最終更新:6/14(木) 12:13
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