ここから本文です

難病の少年に学ぶ、“変えられない現実”の変換法──『ワンダー 君は太陽』

6/14(木) 13:13配信

GQ JAPAN

アメリカで社会現象ともなった児童書『WONDER』が映画化され、2018年6月15日に日本で公開される。この映画が子どもにも大人にも共感されるわけは?

【写真を見る】『ワンダー 君は太陽』に関する写真と動画はこちら

■アイスクリーム屋で出合った少女

R.J.パラシオが処女作『WONDER』を執筆したのは、息子たちと出かけたアイスクリーム屋での出来事がきっかけだった。

「アイスクリーム屋のベンチに頭部の骨格に障害を持つ女の子が座っていました。その子を見て3歳の息子が泣き出したので、とっさに遠ざけようとしたベビーカーが上の息子にぶつかって、ミルクシェイクがひっくり返ってしまった。その一部始終を見ていたベンチに座る女の子の母親が穏やかな声で言ったのです。「私たちそろそろ行かなくちゃね」、と」

その日1日、パラシオは自分の行動を反芻した。傷つけまいとして立ち去ろうとしたことが、結局彼らを傷つけたのではないか? あのとき息子たちにどのような態度を示すべきだったのか?

この経験をもとに主人公、オギー・プルマンは生まれた。トリーチャー・コリンズ症候群という疾患を持つ10歳の男の子。遺伝子の突然変異により顔面の骨格が先天的に不形成。生まれてから現在まで27回の手術を受けた。

昨年の2017年、日本でも同様の疾患を持つ人たちへのインタビューをまとめた書籍が出版され話題になったから、ご存知の人もいるだろう。

物語はオギーがはじめて学校へ通うことからはじまる。彼はどんな少年かと聞かれると、オギーを演じたジェイコブ・トレンブレイはこう答える。

「僕たちには共通点がたくさんある。スターウォーズが好き、家族が大好き。うちで飼っている犬の名前は、スターウォーズのキャラクターからヒントを得たんだ。オギーはまるで僕に当て書きしてくれたような、近しい存在だよ」

つまりジェイコブ同様、明るく聡明。ユーモアのセンスもあってスターウォーズに夢中。と、そこまではいい。しかし、オギーと家族にとって最大の問題がある。家の外に出ると好奇の視線を浴びることだ。

■“教室”という社会の縮図

フィルムの中で子どもたちはオギーを遠巻きにして、つついたり後ろ指を差したりする。見ている方はハラハラするが、ついにオギーに友だちができたときは万歳と叫びたくなるし、オギーがその親友に裏切られたときは一緒に奈落に突き落とされたような気持ちになる。いっぽうで、オギーを受け入れられないクラスメイトの気持ちも理解できるし、お母さんを独占されて寂しいオギーの姉の気持ちもよくわかる。そんな自分の弱い部分、触れられたくない部分、醜い部分、悲しい思い出……これまで経験したことのあるデリケートな感情が次々と蘇ってくる。

チョボスキー監督は「すべての人にはストーリーがある。人生はまさにそうだけれど、この物語は自然な形で、誰もが持っている先入観を超えたその人自身を見せてくれます」と言う。この作品を見た大人たちは多くが大量の涙を流すという。

チョボスキー監督といえば『ウォールフラワー』(2012、原作・脚本・監督)でハイスクールのはみ出し者たちを、『美女と野獣』(2017、脚本)ではヒロインのベルを「本好きの変わり者」として描いた。いわゆる“みんなと一緒”でない若者たちを深いシンパシーを持って描き出す稀有なストーリーテラーである。

「彼らのようなキャラクターを描くことが意義深いのは、僕自身もアウトサイダーだという気持ちがどこかにあるから。ただ僕はアスリートでもあったから学校で友だちも多かった。だから今でも輪の内側にいる人と外側にいる人とをつなぐことが自分の役割だという気がしています」

1/2ページ

最終更新:6/14(木) 13:13
GQ JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

GQ JAPAN

コンデナスト・ジャパン

2018年10月号
2018年8月24日発売

600円(税込)

表紙はファッションデザイナー・山本耀司/秋冬ファッション特集「FOREVER YOUNG 」舘ひろし、吉川晃司、char/香取慎吾がショップ、はじめました!

Yahoo!ニュースからのお知らせ(9月19日)