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ゲームは映画の世界を超えた? 小島秀夫『DEATH STRANDING』にハリウッド俳優が続々

6/14(木) 13:59配信

リアルサウンド

 米開催のゲームの展示会「PlayStation E3 2018 Showcase」にて、『DEATH STRANDING』の最新トレーラーが公開され、『007 スペクター』『ロブスター』のレア・セドゥと『地上最強の美女!バイオニック・ジェミー』のリンゼイ・ワグナーが出演することが明らかになった。

 本作は『メタルギアソリッド(MGS)』シリーズの生みの親であるゲームクリエイター小島秀夫が手掛ける発売日未定のPlayStation4用ソフトウェア。『ウォーキング・デッド』のノーマン・リーダスをはじめ、『ハンニバル』のマッツ・ミケルセン、『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロなど、ハリウッドで活躍する名だたるメンバーが出演している前代未聞のゲームだ。

 さらにあわせて公開された日本語吹き替え版トレーラーでは、サム役に津田健次郎のほか、大塚明夫、井上喜久子、水樹奈々が起用されていることが明らかに。言うまでもないが、大塚はスネーク役、井上はザ・ボス、ローズマリー役ほか、水樹はラ・パス役で『MGS』シリーズに出演していたこともあり、小島ファンから歓喜の声が上がっている。

 まだまだストーリーは謎に包まれているが、今回の8分超えのトレーラーでプレイシーンらしき映像が初お披露目。映像には、リーダス演じる“伝説の運び屋”サム・ポーター・ブリッジズ(プレイヤー)が、人のような形のものなどを、水面や崖を歩きながら“運ぶ”姿が収められている。血まみれになった足から爪を剥がすなど痛々しいサムの姿も見受けられ、サムは正体不明の怪物に見つからないように息を潜めながら“何か”を運んでいくミッションを託されているのではないかと考えられる。

 また新キャストに関する少しの情報も本トレイラーで明らかに。まずセドゥが演じる女性は、サムと同様、生物を急速に老化させる雨への特殊な耐性を持っている人物であることがわかる。昨年IGNのインタビューで小島は、この世界の人間はほとんど防御服を着ているがサムだけは特殊だと明かしており、「泣いていたのがヒントです。あれは悲しくて泣いているわけではないんです」とコメントしていた。セドゥ演じる女性もサムのように雨の後に涙を流していた。

 セドゥ演じる女性はサムの涙を見て「カイラル・アレルギー」であり、サムを「DOOMS」だと判断する(“doom”は英語で、運命や凶運、破滅、死を意味する)。これらの言葉は未だ謎のままだが、本トレーラーでこの雨が「時雨(ときう)」という名前で、“触れた物の時間を進めるが全てを消し去るわけではない”ことが説明された。さらに、「クリプトビオシス」という幼虫のようなものを食せば「時雨」に耐性がつくらしい。この「クリプトビオシス」は、昨年12月に公開された第3弾予告でサムが吐き出した虫とも似ている。

 そしてワグナー演じるもう1人の女性も謎に包まれたままだが、3分40秒あたりに写っていた3人の家族写真には、彼女らしき女性と、サムと思しき男性、そして子供が写っていた。小島は「今回、ある必然性によって、3Dスキャンしたリンゼイさんを若返らせるという作業をしました」とコメントしていたが、もしかしたら「時雨」が彼女に何か関係しているのかもしれない。

 これまで4本のトレーラーが公開されてきたが『DEATH STRANDING』は、ゲームというよりもはや“動かせる映画”と言っても過言ではない。かつてゲームの精巧さを褒めるにあたって「映画のような」という形容詞が使われてきたが、肌の質感やタトゥーまでをも完全再現できるモーションキャプチャーが駆使される今、もうそんな表現は時代遅れのように感じる。ゲームは憧れていた映画の世界を飛び越え、リアルを超越していく。

 ちょうど今年公開された映画『レディ・プレイヤー1』のオアシス内でのシーンは、『DEATH STRANDING』と同じモーションキャプチャーで撮影されている。しかし同じ技術を使っても映画は、やはり受け身のコンテンツであるところから抜け出せない。

 ゲームというのは制作側の意図通りに動いてはいるものの、われわれプレイヤーが主体となって主人公を動かしていく“自由さ”がある。モーションキャプチャーにより“リアルさ”を手に入れたゲームがこの先目指すのは、没入だ。われわれが、『レディ・プレイヤー1』のような仮想世界を見るのではなく“行く”を実現するのがゲームの今後の強みとなっていくだろう。

 『メタルギア』シリーズの主人公スネークが『ニューヨーク1997』を基にしていたり、『メタルギアソリッド ピースウォーカー』に、 スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせる表現があったりと、自身の作品にまで引用するほどの映画好きと知られてきた小島。今回人気俳優が出演していることもあり、小島ファンはもちろん、“北欧の至宝”ことミケルセンのファンを始めとした映画好きにまで本作の存在がリーチする新しいアプローチも見受けられた。

 とはいえ『DEATH STRANDING』は、発売日も未定であれば、一体どんなストーリーなのかも未だ掴みきれていない。さらにまだキャストも全員が披露されたわけではないという。ちなみに、昨年9月に『女は二度決断する』のダイアン・クルーガーが、モーションキャプチャーのスーツを着ている姿をInstagramにアップしており、ファンの間では本作に出演するのではと話題になっていた。

 ゲームの未来の先陣を切っていく『DEATH STRANDING』。この作品は間違いなく、映画とゲームの間に新たな“STRAND(心理学用語で絆)”を生み出す第一歩となることだろう。

阿部桜子

最終更新:6/14(木) 13:59
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