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苦悩するアメリカと“助けない同盟国”日本

6/14(木) 6:00配信

JBpress

 これまで数週間にわたってシンガポールでの米朝首脳会談に国際社会の関心が集中している状況に反比例して、ますます国際社会の関心が遠ざかっているのが、中国による南シナ海での軍事的優勢態勢の強化(アメリカ政府が言うところの「南シナ海の軍事化」)である。

【写真】南シナ海に展開しているフランス海軍フリゲート「ヴァンデミエール」

 このままでは、アメリカの国是である「公海航行自由原則」が南シナ海で崩れ去るとともに、南シナ海とその周辺地域での軍事バランスが圧倒的に中国有利に傾いてしまうことになりかねない。

■ FONOPでかろうじて牽制するも逆効果

 だが、もちろんそんな悪夢をアメリカ軍・政府当局が甘んじて受け入れようとしているわけではない。5月下旬には、中国空軍が爆撃機を南シナ海の軍事拠点に展開させて、敵艦艇を攻撃する訓練を含む大規模な機動訓練を実施したのに呼応させて、アメリカ海軍は、ミサイル巡洋艦アンティータムとミサイル駆逐艦ヒギンズを西沙諸島に派遣し、公海航行自由原則維持のための作戦(FONOP)を実施した。

 しかしながら、西沙諸島や南沙諸島でのFONOPは、オバマ政権下で4回、そしてトランプ政権下で7回実施されてはいるものの、それによって中国が軍事的に圧迫されて人工島建設や海洋軍事基地建設を躊躇するような気配は全くない。

 本コラムでもたびたび指摘しているように、たとえ中国政府が中国領と主張する島嶼環礁(人工島を含む)沿岸12海里内海域を、米海軍軍艦が通航したとはいっても、何ら軍事的威嚇行動を取ることなく、単に航行しているだけである。その航行は、国際海洋法によって認知されている無害通航権の行使ということになり、国当局による「中国領海内を通航する際には中国側に事前通告すること」という要求を無視したというデモンストレーションを実施しただけの結果となってしまっている。

 さらには、アメリカにとっては逆効果の結果も現出している。中国側は、「アメリカ海軍艦艇が中国の主権を踏みにじっている」と騒ぎ立てて、軍艦や航空機を派遣して「アメリカ軍艦を追い払う」とともに、「アメリカの軍事的脅威から中国の国土を防衛する」ためという口実で南沙人工島や西沙諸島の軍備を増強しているのだ。

■ 国際社会を結集させたいアメリカ

 このようなFONOPの状態に鑑みて、アメリカのメディアすらも南シナ海情勢にはさしたる関心を示さなくなりつつある。5月末のFONOPもあまり報道されることはなかった。

 アメリカ軍当局にとっては、このまま南シナ海を失陥してしまっては、同盟国や友好国からの信頼を大きく損なってしまうだけではなく、アメリカ自身の海軍戦略、軍事戦略が大打撃を受けることになる。なぜならば、南シナ海の海上航路帯は日本経済などにとっての生命線であると同時に、アメリカ海軍にとっても重要な作戦用航路帯となっているからである。

 とはいっても、かつて精強を誇ったアメリカ海軍も、対テロ戦争への莫大な軍事費支出や、オバマ大統領による強制財政削減措置による大幅な軍事費削減などにより、強硬策を実施することは不可能な状況である。たとえば南シナ海に空母打撃群を3セット展開させて中国海洋戦力を締め上げるといった圧力などはとてもかけられない。

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最終更新:6/14(木) 6:00
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