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【開発者インタビュー】試作100回以上! 常識を打ち破った透明のノンアルビールとは?

6/21(木) 18:00配信

GOETHE

ノンアルコールビール初の、ペットボトル容器、さらに液体は透明という常識破りの新商品が話題だ。その開発に挑んだチームが、心の支えにした、あの名言とは――。

大人の飲みもの事情が大きく変わる予感

大人の飲みもの事情は、昼夜で極端に異なる。アルコールメニューが豊富な夜に比して、日中は選択肢が限られる。コーヒー紅茶の類を除けば、大人が手に取りたい飲料は正直、少ないのが現状だ。

職場でジュースやスポーツドリンクをがぶ飲みするのもちょっと違う気がする。

仕事中などオンタイムの大人に、リフレッシュと適度な水分補給を与えてくれる飲料はないものか。

ぽっかり空いていたそんな市場に斬りこんだのは、サントリーだった。新しいノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー オールタイム」を、この6月から投入するのだ。

その名にある通り、ノンアルコールビールとして定着している「オールフリー」から派生した商品。ただ、一見したところはそうと気づかない。従来の「オールフリー」がビールに準じたアルミ缶だったのに対し、「オールタイム」はペットボトルに入っているのだ。しかも、ボトルから透けて見える飲料はきれいな無色透明で、ビール色をしていない。

「ビールのあの色は麦芽によるものです。麦芽の量を抑えることで透明を実現しました。それでもビールテイスト独特の風味は損なってはおらず、ほんのりと感じてもらえるはずです。くわえてライムフレーバーも効かせながら、味のバランスをとってあります」

と、開発を担当したサントリービール ブランド戦略部の大津亮氏が教えてくれた。

「ノンアルコールビールテイスト飲料のイメージを刷新したかったんです。アルコールを飲む状況のみならず、ランチに、スポーツの後に、会議中に、そしてオフィスのデスクでも、大人がいつでも手軽にリフレッシュするための新しい飲みものを生み出せたと思っています」

なるほど、新感覚の「大人のソフトドリンク」が誕生したと考えればいいのだろう。ではその味わいはどうか。実際に飲んでみると、まずはしっかりと炭酸が効いていて、爽快感が口中に広がる。

そこまでなら、昨今多く出回っている強炭酸の炭酸水と大きく変わらない。「オールタイム」の場合、喉を通したあとにふわりとビールの風味がおとずれる。ホップ由来の質のよい苦味、それにビール類を徹底分析したうえで付けられた香りが感じられ、しっかりとした味わいがある。

「ビールに通じる『おいしさ』を、ひと口ごとに楽しんでいただけるかと。ビールには複雑な味の厚みと、飲み込んでからは跡残りしないキレがあります。ビール特有の味のリズムが、オールタイムでもできるかぎり再現してあります」と大津氏。これまでにないタイプの商品だけに、開発から商品化までは相当な困難があったのでは?

「2017年4月からオールフリーのチームに入りました。2010年に誕生したオールフリーはおかげさまで広く認知していただける商品になっていますが、まだまだ新しい可能性があるように見えました。市場全体を眺めると、ビール類のなかで、ノンアルコールビールが占める割合は5%ほどなんです。私たちメーカー側の提案次第で、もっと存在感が出せるんじゃないかと考えました。

そこで、日中や仕事中に飲む炭酸飲料としてビールテイストのものがあってもいいじゃないかとの発想が生まれ、ならばデスクに置いてあっても違和感のない味や色、パッケージはどういうものだろうかと検討していきました。先行するお手本がなかったので、試作品をつくること100回以上。開発の途上では、周囲から懐疑的な意見をいただくことも多くありましたが、それは当然でした。どんなものが生まれるのか、やってみなければわからない面があったので。

それでもサントリーには、創業以来の伝統として『やってみなはれ』の精神が根づいています。厳しい意見が飛び交うと同時に、挑戦する人間は温かく見守ってくれる空気があります。迷わず思いきって進みました。その結果として見た目も味も、従来のノンアルコールビールテイスト飲料とは大きく異なる商品ができたというわけです」こうした伸び伸びとした仕事ぶりがあってこそ、ジャンルの壁は乗り越えられていくのだろう。シーンを選ばず気兼ねなく飲める、文字通りオールタイム需要に対応したまったく新しい飲料。この暑い季節のうちに、ともあれまずはいちど試してみたくなる。



Text=山内宏泰

最終更新:6/21(木) 18:00
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