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古代の高貴な墓から新種の類人猿の骨を発見、すでに絶滅

6/22(金) 18:50配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

中国・秦の始皇帝の祖母の墓で出土、ペットだった?

 中国の古代の高貴な墓で見つかった奇妙な骨が、絶滅した新種の霊長類のものだった。6月22日付け学術誌『サイエンス』に論文が発表された。

写真:発見された新種の類人猿の頭骨、歯が大きい

 この頭骨が見つかったのは、2004年に発掘された「夏太后」の墓。夏太后は、中国を初めて統一した秦の始皇帝の祖母である。中国メディアの報道によると、墓の中には、ヒスイや金、銀、彫刻のある陶器、馬車2台など、豪華な副葬品がおさめられていた。

夏太后のペット

 墓の中の12個の穴からは、ツキノワグマやヒョウ、ヤマネコ、ツルといった動物の骨が出てきた。注目すべきは、奇妙なテナガザルの骨だ。この小型類人猿の頭骨は非常に変わっていて、研究者たちは、夏太后のペットが今は絶滅してしまった新属新種のテナガザルだったと考えている。

 研究者たちはこの動物に「ジュンズィ・インペリアリス(Junzi imperialis)」という学名を与えた。「Junzi」は中国語で「君子」を意味し、この頭骨が高位の人物の墓から発見されたことと、古代中国の神話ではテナガザルが君子とされる場合が多いことにちなんでいる。

 論文によると、今回の発見は、人類が昔からテナガザルを捕獲していたことを強く証拠立てるものであり、過去の霊長類の絶滅に人類が影響を及ぼした範囲の解明に役立つという。

 論文の共同執筆者である英ロンドン動物学協会の博士研究員ジェームズ・ハンスフォード氏は、「霊長類の絶滅については、ほとんど知られていません」と言う。アジアのテナガザルの化石はこれまで歯と小さな骨片しか見つかっておらず、完全な化石記録にはほど遠かった。

「このテナガザルが存在していたという事実を確定することは非常に重要なのです」とハンスフォード氏は言う。

歯は語る

 このサルの頭骨は考古学的に重要であるため、研究者はDNAを調べることができなかった。DNAを調べるためには貴重な骨の一部を破壊する必要があるからだ。そこで彼らは、頭骨と歯の形や角度を調べる形態計測という手法を用いた。

 素人目には、古代のテナガザルの頭骨は、現代の森で枝渡りをするテナガザルとそっくりに見える。国際自然保護連合(IUCN)霊長類専門家グループ小型類人猿セクションの副委員長スーザン・チェーン氏は、「ふさふさした毛をつけたら、そっくりに見えるでしょう」と言う。

 そこで研究チームは、4種の現生種のテナガザルについて、279匹の歯789本と477個の頭骨を詳細にレーザー測定し、データベースを作成した。これにより、夏太后のテナガザルを既知の種と比較することができる。「結論から言うと、非常に大きな違いがありました」と、ハンスフォード氏。

 論文の共同執筆者である米アリゾナ州立大学の博士研究員アレハンドラ・オリッツ氏は、額の傾斜はより急で、眼窩上突起は小さいと説明する。問題は歯だ。ハンスフォード氏は、一言で言えば非常に大きいと言う。

 米ストーニーブルック大学の霊長類解剖学者ジョン・フリーグル氏は、「下の臼歯は見えません」と言う。フリーグル氏は今回の研究には関与していないが、このサルが新属新種であるとした研究チームの判断を支持し、数百点の標本を比較した厳密さを称賛する。

「長さの測定から得られるデータはすべて得られたと言ってよいでしょう」と彼は言う。

 フリーグル氏は、奇妙な形の骨は、このサルが人間に飼われていたことで説明できる可能性もあると指摘する。「人間に育てられ、ふつうは食べないようなものを食べていた動物は、おかしな骨格になることがあるのです」。けれども、人間に飼育されたことでこれほど大きい歯ができたとは考えにくいとも言う。

「明らかに奇妙な標本です」

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