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米中貿易戦争・開戦前夜

6/22(金) 23:25配信

ニューズウィーク日本版

米中間の貿易摩擦に対する懸念が一段と高まり、NY株も続落している。このまま報復課税合戦になれば、米中経済を傷つけるたけでなく、日本など第3国の経済も道連れになる。希望は、中国が報復合戦を降りることだが

6月15日に、米トランプ政権は中国による知的財産権侵害に対抗するとして、通商法301条を発動し、中国からの輸入500億ドル分に対して25%の制裁関税を課すと発表した。課税は2段階に分けて行い、まず7月6日には818品目(輸入340億ドル分)に課税し、284品目(輸入160億ドル分)については関係者からのヒアリングを経て今後決めるという。

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それに対して中国の商務省も直ちに反応し、アメリカが7月6日に課税を始めたら、すぐさまアメリカからの輸入340億ドル分に対して25%の報復課税を行い、160億ドル分の輸入に対してもアメリカが課税したら報復すると言っている。

するとトランプ大統領はさらに中国から輸入2000億ドル分に10%の追加関税を課するのだといって、米通商代表部(USTR)にどの品目に課税するか検討するよう指示した。そうなると中国もそれに見合った報復をする可能性があるが、中国のアメリカからの輸入は1300億ドルほどにすぎないので、輸入以外に、例えばアメリカ企業の中国での事業に対する報復をするのではないかと噂されている。

米中の間で全面的な貿易戦争が始まったら、日本など他の国の経済も大きな影響を受ける。というのは、アメリカが制裁関税をかける品目の大部分が機械だからである。

トランプ政権は、中国がアメリカ企業に技術移転を強要するなどしてアメリカの知的財産権を侵害し、それによって「中国製造2025」というハイテク産業育成戦略を推進している、だから制裁関税は「中国製造2025」に挙がっている分野を狙うのだという。

■日本の対中輸出も減少

アメリカが第1弾として課税する818品目は、ほぼすべてが産業用機械、輸送機械、精密機械の分野に属する。機械は国際分業を通じて作られるから、中国がアメリカに輸出する機械のなかに日本、韓国、台湾、東南アジアから中国へ輸出される部品や材料も組み込まれているはずである。従って、アメリカの課税によって中国からアメリカへの輸出が減れば、日本などから中国に向かう輸出も減る。

もちろん中国製の機械に高い関税がかかることで輸出が不利になれば、日本製、韓国製の機械がアメリカ市場で中国製機械から市場を奪う可能性もある。米中の貿易戦争は第3国にとって悪い話ばかりでもなく、漁夫の利が得られる可能性がある。

しかし、貿易戦争が始まれば、米中双方でさまざまな物の値段が上がり、双方の実質所得がそれによって低下する。そうなると、日本など第3国から米中への輸出は全般的にマイナスの影響を受ける。こうしたマイナスの影響は「漁夫の利」をはるかに上回るだろう。つまり、貿易戦争は米中双方だけでなく、第3国のGDPをも押し下げることになる(みずほ総合研究所「内外経済見通し」2018年5月17日)。

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