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出場しない中国、W杯を断トツ制覇 広告ですが…

6/24(日) 7:47配信

NIKKEI STYLE

 日本がコロンビアに勝利して沸くサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会。テレビ観戦した視聴者は漢字を使った中国企業の広告が目に入ったはずだ。中国チームは本大会に出場できなかったが、中国企業4社が世界で宣伝活動を展開できる主要スポンサーとなった。W杯期間中に中国企業が投じる広告支出総額は約900億円で世界1位とされ、習近平(シー・ジンピン)最高指導部が旗を振る海外進出にアクセルを踏む。
 グランド脇の漢字を使った広告で注目を集めているのは乳業大手の蒙牛乳業と不動産大手の大連万達集団(ワンダ・グループ)。蒙牛は自社の乳製品名「冠益乳」も表示し、「W杯を使うことで世界的なブランドであることを国内の消費者にアピールしている」(中国の広告会社幹部)。
 万達は海外での積極的なM&A(合併・買収)で知られる。米映画館チェーンを手始めにサッカーチームやホテル関連で買収を繰り返したが、中国当局が借り入れ依存の経営体質を問題視。資金調達が厳しくなり、資産売却などを含めた経営改善策を進める最中だが、大きな存在感を残す。
 英語でブランド名などを宣伝するのが、家電大手の海信集団(ハイセンス)と、vivo(ビボ)ブランドでスマートフォン(スマホ)などを手掛ける維沃移動通信。ハイセンスは東芝からテレビ事業を買収するなど海外戦略を手掛けており、世界での知名度向上が狙いとされる。
 vivoは中国の若者らに人気のあるスマホブランドで、海外は東南アジアが中心。中国市場の成長が鈍る中で次の成長を模索しており、「W杯のスポンサーをテコにロシアや先進国での販売ももくろんでいる」(中国の広告会社幹部)。
 国際サッカー連盟(FIFA)と企業が結ぶスポンサー契約は、FIFAの活動全般を支援する「FIFAパートナー」が最も格上で、次に大会を支援する「FIFAワールドカップスポンサー」。これらのスポンサー契約を交わした企業は世界で12社しかない。
 そのうち4社が中国企業。万達が「FIFAパートナー」で、残りは「FIFAワールドカップスポンサー」。前回のブラジル大会では新エネルギーの英利緑色能源の1社だっただけに大幅に増えた格好だ。
 中国メディアなどによると、今大会で中国企業は地域を限ったスポンサー「ナショナルサポーター」にも名乗りを上げ、各国のスター選手を起用した宣伝活動も行う中国企業も多い。調査会社のまとめでは、W杯期間中に中国企業が投じる広告投資の総額は8億3500万ドル(約900億円)で、2位の米国の2倍以上で大きく引き離す。
 習主席はサッカー好きで知られており、サッカーの中長期計画では2050年までにW杯優勝など世界一流のサッカー強国になることをめざす。その道のりは遠いが、少なくとも中国企業のサッカー分野での存在感は世界トップ水準に達している。
(多部田俊輔)
[日本経済新聞朝刊2018年6月21日付]

最終更新:6/24(日) 7:47
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