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コーナーキックから直にゴールを決める神業を科学的に検証

6/25(月) 8:00配信

WIRED.jp

コーナーキックに挑戦するのは、おそらく10年ぶりくらいだ。蹴り上げたボールは大きな弧を描いてゴールポストのはるか上を通過し、サンタクララ大学のサッカー練習場を囲むフェンスの向こうに落ちた。

【動画】神業「オリンピックゴール」を検証

その様子を見ていたブランディ・チャスティンが、お世辞ではあろうが「悪くないですね」と声をかけてくれた。「カーヴはうまくかかっていますから、あとは正しい方向に蹴るようにすればいいんです」

チャスティンは女子サッカーの元アメリカ代表だ。FIFA女子ワールドカップ(W杯)で2回の優勝を飾ったほか、1996年のアトランタ五輪では金メダルを獲得している。

彼女が手本を見せてくれた。コーナーエリアにボールを置き、角度を見ながらポジションを決め、深呼吸してから大きく前に踏み出す。右足でしっかりと蹴られたボールは宙を切りながら、ゴールから数ヤード向こうに離れた地点に向かって飛んでいく。

しかしそう思った瞬間、軌道が左に曲がり始めた。チャスティンが「行け!」と叫ぶと、ボールはその言葉に従うかのようにゴールに吸い寄せられ、最後にはゴールネットの右端を揺らした。

チャスティンはにっこりと笑う。彼女はその日、ほかにも何本かコーナーキックからダイレクトにゴールを決めた。ただ、実際の試合でこのスーパーゴールを目にすることはほとんどないという。チャスティンは、開催中のW杯ロシア大会でもダイレクトゴールはまず見られないだろうと断言する。

「オリンピックゴール」と呼ばれた神業

サッカーの世界では、コーナーキックからボールが誰にも触れることなく直接ゴールに入ることを「ゴル・オリンピコ」と呼ぶ。オリンピックのゴールという意味で、1924年のパリ五輪で金メダルを獲得したウルグアイ代表チームが同じ年にアルゼンチン代表と試合をしたとき、アルゼンチンのセサレオ・オンサーリがコーナーキックからそのまま得点した。

金メダルチームから奪ったゴールということでこの名が付いたのだが、以来94年間、試合中にこの神業のようなシュートを成功させた選手の数は非常に限られている。少なくとも、本番でコーナーキックから実際に狙ってゴールを決めることのできる者は、まずいないだろう。

2012年のロンドン五輪では、アメリカ代表でミッドフィールダーのミーガン・ラピノーがオリンピック大会で初となるオリンピックゴールを決めた。しかし、これは偶然の産物だった。ラピノーはゴールの手前を狙ったのだが、ボールは少し左にそれ、そのまま相手チームの選手の足の間を通過してキーパーの足にぶつかり、たまたまゴールに入ったのだ。

チャスティンと並んでゴールラインに立つと、オリンピックゴールがなぜそれほど難しいのかよくわかる。ゴールはコーナーエリアと水平な位置にあり、ボールをカーヴさせなければゴールラインを越すことはできないからだ。コーナーからゴールを狙うには、文字通り首を回して見なければ目に入らないものに向かってボールを蹴らなければならない。

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最終更新:6/25(月) 8:00
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