ここから本文です

水を飲めず、MOMも受け取れないロシアW杯選手たち

6/25(月) 17:33配信

ニューズウィーク日本版

<断食中だったかもしれないサウジ人選手、制裁でナイキにスパイク提供できないと言われたイランチーム、2026年北米大会や2022年カタール大会に影響するアラブ情勢......ムスリムがサッカーをするのはこんなにも大変>

サッカー・ワールドカップ(W杯)・ロシア大会が6月14日からはじまった。栄えある開幕戦はグループAのロシア対サウジアラビアであった。結果はロシアが5対0で大勝。実はこの日はロシアを含む世界各国でラマダーン月の終了に当たっていた。ご存知のとおり、ラマダーン中は日の出から日の入りまでムスリムは一切の飲食を断たねばならない。

W杯ロシア代表、予想外の躍進もプーチンは興味なし?

試合開始時間は予定だと夕方6時だったので、試合途中から水を飲むぐらいできるようになるのかと思っていたら、試合会場のあるモスクワだと日没は何と夜9時。断食を守る敬虔なサウジ人選手は試合終了まで水も飲めないことになる。

もちろん、イスラームでは旅行中の場合、断食期間をずらしてもいいとされており、代表チームの選手が試合中に飲食をするのは可能なはずだがが、ムスリムを含む世界中の人びとが注視するなかで、水をがぶがぶ飲むのは勇気が必要であろう。これまでも多くのムスリム選手が練習中、試合中にかぎらず、断食を遵守していることが報じられている。

たとえば、W杯前の親善試合のことだが、チュニジア代表がポルトガル代表と試合を行っている最中、突然チュニジアのゴールキーパーが倒れ、治療を受けるという事件があった。実はキーパーが倒れたのはちょうど日没の時間に当たっており、この「治療」中に他の選手たちは急いで水分や食料を補給していたのである。つまり、キーパーが倒れたのは仮病で、治療と称して断食明けの食事(イフタール)を摂っていたということだ。

サウジ人選手がロシアとの試合中、断食していたかどうか確認はできなかったが、そのまえの準備期間中の体調管理を含め、選手たちの多くが困難な状況にあったことは容易に想像できる。実際、2試合目のウルグアイ戦では、敗れはしたものの、0対1と善戦している。ウルグアイのほうがロシアよりFIFAランキングは上なので、やはり断食が影響したのだろうか。

今大会ではムスリムが多数を占める国からも代表が送られているが、今のところ勝利したのはイランとセネガルだけである(ただし、イランが勝ったのは同じムスリム国のモロッコ)。

1/5ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ニューズウィーク日本版

CCCメディアハウス

2018-9・25号
9/19発売

460円(税込)

【特集】リーマンショック10年 危機がまた来る
貿易戦争、新興国の通貨急落、緩和バブル崩壊...
世界経済を直撃した未曽有の危機が再び人類を襲う日

ニューズウィーク日本版の前後の記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ(9月19日)