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「公職選挙法違反」で市民有志が花角英世・新潟県知事の選対幹部を告発。デマの流布に捜査のメスが入るか!?

6/27(水) 8:50配信

HARBOR BUSINESS Online

◆「事実関係を調べる」と言っていたはずの花角知事は、「知らない」に後退

 “文春砲”絡みの知事が2代連続で誕生した。女子大生買春の“文春砲”直撃による米山隆一知事辞職に伴う「新潟県知事選」(6月10日投開票)で、自公支持の元国交官僚の花角英世候補(知事)が初当選したが、選対幹部が“文春砲”の名前を使って相手女性候補の下半身ネタをデッチ上げ、虚偽(ウソ)の情報を流すことを禁じる「公職選挙法違反」で6月22日に告発されたのだ。

⇒【画像】市民有志が検察と県警に提出した告発状

 このことについて、選挙戦の間から2度にわたって筆者は指摘してきた(記事参照:「拉致問題は創作」発言、不倫問題……新潟県知事選で池田候補のデマを流した者は公職選挙法違反!?/新潟県知事選、花角陣営選対幹部が流した相手候補への悪質なデマについて選対幹部と花角新知事を直撃)。当選後に花角知事にも直接質問したが「事実関係を確認させてください」と言うのみで、その後何の動きもみられなかった。そこで6月21日、花角知事就任後初の定例会見で再び質問したのだ。

「知事、選挙中の(『三條新聞』の)『週刊文春』下半身ネタのデマ記事について一言、お願いできませんでしょうか。(投開票日の6月10日に)事実関係を調べるとおっしゃっていましたが?」

 しかし花角知事は「事実関係を承知しておりません」と従来の答えを繰り返すだけ。「調べるつもりはないのですか? 『ルール違反をしても当選する』というお考えですか」と再質問をしたが、花角知事は無言のまま会見場を後にした。

 6月10日に当確が出た直後、花角知事は“下半身ネタデッチ上げ発言”について「事実関係を確認する」と答えたにもかかわらず、知事就任翌日(6月13日)に上京した時の囲み取材では「事実関係を知らない」と、選挙前より後退した答えを繰り返すだけだった。そこで8日後の定例会見で同じ質問をしたのだが、ここでも「事実関係を承知していない」と答えるだけで、調査の姿勢はみられなかった。

◆市民有志が、花角陣営の選対代表代行・長谷川氏を公職選挙法違反で告発

 翌6月22日、県内在住の市民有志8人が「文春下半身ネタデッチ上げ発言」に関する告発状を県警と検察に提出(県警は受理)、新潟県庁内で記者会見に臨んだ。記者に配布された告発状には、公職選挙法第235条第2項違反の犯罪行為について次のように記されていた。

「被告発人(長谷川克弥)は新潟県知事選挙の候補者である花角英世を支援する確認団体である『県民信頼度ナンバーワンの県政を実現する会』の代表代行であったところ、2018年6月6日正午から自由民主党三条支部事務所で開かれた緊急議員会議の公開された冒頭部分において、三條新聞記者も含めた不特定多数の出席者に対して、花角英世への支援を求めつつ、新潟県知事選挙の対立候補者であった池田千賀子に関し、その当選を得させない目的をもって、『文春に選挙後に出るようだ。また、下半身の話だ。そんなことになったらまた選挙になるのではないか』という発言を行った。よって被告発人は、虚偽の事項を公にしたものである」

「被告発人の言説は、その後、あたかも花角陣営が確認した事項のように新潟県内外に広まり、選挙期間中に、複数回、新潟市内、三条市内、及び県外、ソーシャルネットワーク(SNS)上で聞くこととなり、選挙運動の大きな妨げとなった。この虚偽の言説の元となったツイートをした匿名アカウント『永田町ウォッチャー(@nagatachowatch)」』は、その発言が虚偽であったことを指摘され、6月5日に当該ツイートを削除している」

◆市民有志代表に聞く、告発の経緯

 市民有志代表は「県警と検察に提出した告発状には、長谷川氏の問題発言を掲載した6月7日付の三條新聞を添付した」と補足説明した。筆者は、10日以上経っても調査を始める気配すらない花角知事の行動について市民有志代表に聞いた。

――6月21日の(定例会見で)花角知事に聞いたのですが、「事実関係を承知していない」と答えました。当確が出た6月10日にも同じ質問をしたのですが、その時は「事実関係を確認する」と答えたのに、いまだに事実関係を調べようとする姿勢は見られません。

市民有志代表:私たちが告発をした「被告発人」の長谷川克弥さんという方は、花角英世知事が候補者であった時の確認団体の代表代行(ナンバー2)だった方です。その方の発言について確認せず、責任も取らないということは、許されないことだと思います。

――こういう明らかなデマを流した選挙違反がまかり通ったら、大変なことになるという危機感がありますか。

市民有志代表:私たちは公正な選挙を求めて告発をしています。私自身もこれまで2回、選挙のボランティアをしたことがありますが、このような選挙妨害をあからさまに受けたのは今回の県知事選挙が初めてです。このままでは公正な選挙が行われなくなってしまう。「不正がまかり通るような選挙は今回限りにしてほしい」との思いから告発しました。

――『週刊文春』関係者にも聞いたのですが、「企画会議も通っていないし、記者も動いていない」と答えました。(6月10日の投開票日に)長谷川さん本人にも「文春の記者から聞いたのか」と聞いたら、まさにこの告発状にある「『永田町ウォッチャー』が根拠です」と答えたのです。ツイッター上の匿名の情報をさも事実であるかのように、選対幹部が記者の前で話すのは、かなり確信犯的ではないかと思いますが。

市民有志代表:そこについて私たちは非常に重く見ております。経緯として「永田町ウォッチャー」は6月5日に当該ツイートを削除、謝罪ツイートもしています。それにもかかわらず、そういった言説をその翌日(6日)にしたということは、非常に大きいことだと思います。

◆「デマの流布」は確信犯的に行われた?

 まさに確信犯的な選挙妨害(公職選挙法違反)ではないか。私の直撃に対して、長谷川氏は「文春の記者に聞いたのではなく、(永田町ウォッチャーの)ツイッターに書かれていた噂を話した。噂を広めるつもりはなかった」と反論した。

 しかし、選挙戦を取材に来ていた『三條新聞』記者ら報道陣がいる「緊急選対会議」で、花角陣営選対幹部の肩書き「代表代行(ナンバー2)」を名乗って発言すれば、多くの有権者に広まることなど誰でもすぐにわかる。

 新潟県知事選の告示日から現地に張り付き、自民党新潟県連にも出入りしていたのは、選挙プランナーの三浦博史氏。菅義偉官房長官と懇意であることでも知られる三浦氏にも、文春下半身ネタ記事化発言について聞いてみたが、「池田陣営の保育園問題はどうなのだ。その取材をしない限り、この件については答えない」と具体的な回答を拒否された。

 花角知事の“知らぬ存ぜぬ”の対応、“実行犯役”の長谷川代表代行の流布否定発言、そして官邸とパイプを持つ選挙プランナー三浦氏の取材拒否――。「ルール違反をしてでも勝つ」という、日大アメフト部のような「確信犯的公職選挙法違反」の疑いは深まるばかりだ。今後、告発による捜査がどのように進むのかに注目だ。

【※虚偽事項公表罪】当選を得させない目的をもって公職の候補者に関し虚偽の事実を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する(公職選挙法第235条第2項)。

<取材・文・撮影/横田一>

ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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